観能雑感
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2006年01月28日(土) オペラ 『魔笛』

オペラ 『魔笛』 新国立劇場 PM3:00〜

 モーツァルト最後のオペラ。ジングシュピールというドイツの伝統的歌芝居の様式を踏襲。架空の国を舞台にしたファンタジーだが、作中で善悪が完全に覆ったり、フリーメイスンの儀式を取り入れていたりと、探求の材料は尽きない。しかし全編美しいアリアで構成された楽しい作品で、無条件に楽しめる。耳に馴染んではいるが実際に舞台で観るのは今回が初めて(オペラは大抵そう。倹しい生活をしているので)。
 三階席下手寄りに着席。

作曲 W.A.モーツァルト
台本 エマヌエル・シカネーダー

指揮 服部 譲二
演出 ミヒャエル・ハンペ
美術・衣装 ヘニング・フォン・ギールケ
照明 高沢 立生
音響原設計 山中 洋一
再演出 田尾下 哲
合唱指揮 三澤 洋史
音楽ヘッドコーチ 岡本 和之
ザラストロ アルフレッド・ライター
タミーノ ライナー・トロースト
弁者 長谷川 顯
僧侶 加茂下 稔
夜の女王 佐藤 美枝子
パミーナ 砂川 涼子
侍女I 田中 三佐代
侍女II 加納 悦子
侍女III 渡辺 敦子
童子I 直野 容子
童子II 金子 寿栄
童子III 背戸 裕子
パパゲーナ 諸井 サチヨ
パパゲーノ アントン・シャリンガー
モノスタトス 高橋 淳
武士I 成田 勝美
武士II 大澤 健

合唱 新国立歌劇場合唱団
管弦楽 東京交響楽団

 いろいろ書きたいことはあれども諸事情でごく簡単に。
 舞台セット、演出は奇をてらわない伝統的なもの。床にはルネサンス時代の天体図、可動式の壁は現代の宇宙望遠鏡が捉えた銀河系の写真が使用され、広大な宇宙の中の、とある星での出来事であるとい意図を感じる。主要キャストはほぼ健闘したと言えよう。特にザラストロとパミーナは良かった。パミーナは最初はやや不安を感じたものの、可憐で心の美しい、しかし勇気も持ち合わせた王女を好演。ザラストロが歌う最初のアリア、「おお、イシスとオシリスの神よ」は静謐な中に求道者としての強さが感じられ、感服。パパゲーノは残念ながらいまひとつの感あり。しかしパミーナとの二重唱で、作品中最も美しいアリア「愛を知る男たち」には心打たれた。夜の女王はコロラトゥーラとして高い技量が要求される役だが、及第点はあげられるだろう。歌いこなすのは実に難しい役。童子は実際に少年が演じてもらいたいところだが、日本では言語の問題もあって、難しいだろう。
 オケはバレエの時感じたとおり、響きに厚みが若干不足気味で、少々物足りなかった。とりあえず、こんなところなのだろうとは思うけれど。
 ところで、パパゲーノが持っている魔法の鈴、床に置くと自動的に回転したり止まったりと、どういう仕組みになっているのか気になってしまった。




こぎつね丸