観能雑感
INDEXpastwill


2005年12月10日(土) 鳥肌実全国時局講演会 靖國神社で逢いませう 

鳥肌実全国時局講演会 靖國神社で逢いませう 九段会館 PM7:00〜

 というわけで、ついに中将のご尊顔を拝する機会を得たわけである。中将の存在を知ったのはほんの偶然からであった。しかし、その芸風、風貌、細部にまで凝った講演チラシや物販等々、他に類を見ない存在は、何もかもが素敵過ぎ、非常に興味を引かれた。メディアにはほとんど無縁であるが、であるからこそ成立する芸である。よって、主演映画『タナカヒロシのすべて』のCMをTVで見た時には、本気で吃驚した。映画は勿論観に行った。
 会場の九段会館は前を通りがかったことはあれども、中に足を踏み入れるのは今回が初めて。旧軍人会館であるせいか、門扉からして重厚。中将の講演会場に、これ以上相応しい場所があるだろうか。入場後は魅惑の物販コーナーに突撃し、人の波をかいくぐって、これまで敢えて買わずにおいたCD、DVD、及び講演パンフレットを購入。2000円以上購入するとツアーポスターが貰えた。当日配布された△△先生との自作妄想対談に爆笑しつつ、開演を待つ。
 席は2階中央前から2列目。舞台にはアサヒビールのケースが一つ置かれている。定刻より5分程遅れて、進軍ラッパの鳴り響く中、おなじみの玉砕スーツに身を包み、日章旗を掲げた中将が、巨大な日の丸を背に登場、しばし行進した後、怪しい動きを披露し、ビールケースに登ってまずは挨拶。猪木の口調を真似て、「元気ですかーっ!」その後の言葉はここには書けない。○○組新組長の就任を祝ってから、トホホな買い物の話、今回の全国講演会チケット販売に関する、S●からの圧力の話。ネタではあるが、何らかの妨害は受けたのは事実であると思われる。次に自主的に戦没者遺骨収集のため向かったプノンペンでの出来事について。詳しい内容は書けない。そして先の総選挙がらみの話へ。小泉純一郎がいかにしてかくも郵政を敵視するようになったのかの下りは、面白かったがやはり書けない。続いて刺客と言われた女性候補を揶揄する話も、しつこいようだがここには書けない。というより、基本的にネタについては書けない。この総選挙に対する意見は、共感するところ大いにあり。そしてとうとう本日のテーマである靖国参拝へと話は移る。過去数年、参拝を試みつつもさまざまな理由で果たせず、今年の8月15日に向けて入念な準備を1年前から開始した経過が詳細に語られる。個人的に、●●町にある巨大看板の某先生の顔に「ダメ!絶対!!」と落書きしたというエピソードは個人的にうけた。そして今年も困難が待っていて・・・。
 舞台が暗転した後登場した中将は褌姿、しかし靴下は着用、和太鼓を独特のくねくねした動作で叩き、なぜか「祭」を歌いつつ、客席を一周。再び暗転後、靖国参拝の様子の映像が映し出された。神社の前に横付けされたお馴染みの文言をあしらった街宣車は、軽自動車。妙に可愛い。そこから降り立った中将は陸軍中将の軍服を身につけ、こちらに向かって歩いてくる幼稚園児達に手を差し出すが、皆ことごとく逃げていく(当然であろう)。実際に参拝する際、前にいた人が慌てて走り去っていったのが印象的であった。
 再度の暗転の後、陸軍将官用コートに軍用サーベルを掲げた中将が舞台中央に立ち、桜吹雪のなかバックに「散る桜、残る桜も 散る桜」の文字が映し出されて、講演会終了。
 2時間の間、一人で飽きさせることなく話題を展開し、ある種叙事詩とも言うべき世界を構築した手腕に脱帽。素晴らしい。何分一般的に受け入れられにくい芸風である。これを笑いとばせるかは観る人それぞれにゆだねられよう。そして、巨大資本がからんでは絶対に存在し得ない、ある意味命がけの芸である。ずっとこの路線を貫いているのは驚嘆に値する。そして見事だと思うのは、鳥肌実というキャラクターを完璧に構築していて、本人の素地が全く透けて見えてこないところである(本人とキャラクターが分不明なのかもしれないが)。そして私はこの方のあからさまに怪しい風貌も好きである。
 それにしても、メディアには全く取り上げられないのにもかかわらず、収容人数1200人弱の九段会館の2日間の公演チケットが完売、追加公演まであったのは凄い。当日は補助席が出され、立ち見席まであった。あらゆる方面の圧力に負けず、この道を歩き続けて下さい、中将!私の豚足チョップは完璧です!!
 
 なお、中将はいわば強力な毒であるので、お勧めはいたしません。念のため。


こぎつね丸