観能雑感
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2005年09月10日(土) NHK交響楽団定期公演

NHK交響楽団定期公演 NHKホール PM6:00〜

 NHKホールは遠い。距離そのものよりも、雑踏を抜けていかなければならないのが恨めしい。暑い季節ならなおさらのこと。
 開演前の恒例になっている室内楽の演奏を、階段の踊場から聴く。といいつつ、実際に聴くのはこれが初めて。前に人がいるため小さな舞台はほとんど見えないが、音楽を聴くぶんには問題なし。曲は日本の現代作曲家(名前は失念)の作品で、トロンボーン四重奏曲。珍しい。『夢』と題された、夢の中の出来事と覚醒までを描いた音楽。トロンボーンの音はこうして改めて聴くと意外とまろやか。こちらも恒例となっている、退団する団員の紹介。定年退職だそうで、良い演奏へのお礼とお疲れさまでしたの意味を込めて拍手を送った。

 座席は2階席センター後列。座席は7〜8割方埋まっていた。本日のコンサートマスターはマロさん。

指揮 ピンカス・スタインバーグ
ピアノ コルネリア・ヘルマン

モーツァルト セレナードニ長調 K.239「セレナータ・ノットゥルナ」

 モーツァルト20歳頃の作品。弦楽とティンパニーという珍しい構成。2楽章で弦楽四重奏が組み込まれるのが面白い。曲名からはぴんとこなかったが、聞き覚えはあった。楽しい小品で、良い時間が流れていった。

モーツァルト ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
 
 モーツァルトの作品数は多いので、このように数字だけで示されている曲はピンとこないが、聴き始めると確かに聞き覚えあり。ピアノは正確なタッチで音色も決して悪くはないが、音の輪郭がやや不鮮明。大満足するまでには至らず。そもそもモーツァルトの曲は技術的に困難を極めるということもなく、構造はいたってシンプル。だからこそ人の心を動かす演奏は難しい。

ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14

 ロマン派の先駆けとなった記念碑的作品。私の好きな曲である。第一楽章は若干早めのテンポで演奏され、自分の好みからするともう少し粘着感が欲しいところ。先行き不安になったが第二楽章のワルツは秀逸。心躍るなかみも不安が見え隠れする。第三楽章の牧歌的な情景の中に忍び寄る疑惑、そして第四楽章の処刑台への行進へと続く。この行進曲に肝要なのは、疾走するヤケクソ感だと日頃思っているのだが、やや物足りないなさを感じる。第5楽章のサバトはしっかりとしたリズムの中に猥雑さが混入されて、これまた秀逸。全体として満足の行く演奏で、拍手をする手に力がこもった。

 周囲に様々な雑音があって、残念。音楽を聴きに来ているのに、何故騒音を立てられるのか?謎。

 


こぎつね丸