観能雑感
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2004年09月22日(水) 東雲会 青葉会 東京大会 1日目

東雲会 青葉会 東京大会 1日目 国立能楽堂 AM11:30〜

 藤田朝太郎師主催の会。ご本人の還暦祝いも兼ねてとのことで、とにかく超豪華。驚くばかりの番組。
 遅い夏休みを取得し、今日から6連休。相変わらず体調は優れないが、とにかく行く。酔狂。
 開始当初から入場したせいか、まだまだ空席が目立つ状態。中正面列中央正面席寄りに着席。
 番組とは少々異同があり、実際行われたとおりに記録。演者は玄人のみ記載。休憩に立った部分は記載せず。地謡はすべて2名。

舞囃子
『弓八幡』  當山 孝道
小鼓 亀井 俊一(幸) 大鼓 國川 純(高) 太鼓 金春 国和(春)
『安宅』  波吉 雅之
小鼓 亀井 俊一(幸) 大鼓 國川 純(高)
『紅葉狩』  佐野 登
笛 藤田 朝太郎(噌) 大鼓 亀井 忠雄(葛)
『盛久』 水上 輝和
小鼓 鵜澤 速雄(大) 大鼓 國川 純(高)
『草子洗』
小鼓 鵜澤 速雄(大) 大鼓 國川 純(高)
『二人静』 梅若 六郎 梅若 万三郎
小鼓 幸 清次郎(清) 大鼓 國川 純(高)

 本日注目の一番。二人並んで謡いだした時から空気が変わる。小書は付いていなかったが、立出之一声と同様に、シテが葛桶に腰掛けていた。万三郎師の菜摘み女に静である六郎師が後ろから寄り添い、肩に手を置いた様子は、戦慄であり、妖艶でもあった。

『放下僧』  今井 泰行
小鼓 亀井 俊一(幸) 大鼓 柿原 崇志(高)
『葛城』大和舞  関根 祥六
小鼓 鵜澤 速雄(大) 大鼓 安福 健雄(高) 太鼓 観世 元伯(観)
『松虫』  佐野 由於
小鼓 亀井 俊一(幸) 大鼓 柿原 崇志(高)
『三輪』  大坪 喜美雄
小鼓 亀井 俊一(幸) 大鼓 柿原 崇志(高) 太鼓 観世 元伯(観)
『安宅』  観世 恭秀
小鼓 鵜澤 速雄(大) 大鼓 安福 健雄(高) 
『船弁慶』  朝倉 俊樹
小鼓 北村 治(大) 大鼓 柿原 崇志(高)太鼓 金春 国和(春)
『三番三』
山本 東次郎 山本 泰太郎
小鼓 幸 清次郎、幸 正昭、森澤 勇司(清) 大鼓 亀井 忠雄(葛)

 東次郎師の三番三はぜひ観てみたかったので、この機会に実現したのは嬉しいかぎり。様式を獲得した身体の美しさとともに、大地を踏みしめ豊穣を願う素朴な力強さも併せ持っていた。千載とのやりとりは、緊張感さえ孕んでいて新鮮に感じた。

一管
『獅子』  藤田 大五郎

 本日最大の目的。一人で現れ舞台中央に座る大五郎師、改めて小柄であることを実感する。音量、音の長さという点では往年の迫力はないのであろう。しかし、清澄で、雄大で、霊山に一人静かに佇む獅子の姿が脳裏に浮かぶ。この音を表現する言葉を持たない。気が付くと、涙が滲んでいた。

『羽衣』彩色之伝  野村 四郎
小鼓 幸 清次郎(清) 大鼓 安福 健雄(高) 太鼓 金春 惣右衛門(春)
『乱』  金井 雄資
小鼓 鵜澤 速雄(大) 大鼓 柿原 崇志(高) 太鼓 金春 惣右衛門(春)

 先日観た乱よりは楽しめた。技の披露に終始していないところがいい。惣右衛門師の太鼓の軽やかな調子を堪能した。


こぎつね丸