観能雑感
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2004年07月31日(土) 苦い決別

ウィリアム・フォーサイス率いるフランクフルトバレエ団が7月始めのパリ公演を最後に解散したとのこと。原因は市の財政悪化。資金援助の停止から、結局バレエ団そのものを解散させることになった。

フォーサイスとフランクフルトバレエがバレエ界に与えた影響は計り知れない。返す返すも残念であるし、憤りを感じる。芸術が政治に翻弄されるのは悲しいことだ。

フランクフルトバレエの公演を劇場で観たのは一度切り。「エイドス・テロス」だった。内容は難解でありながら衝撃を伴って迫ってきて、帰りの山手線の車内で私は世界にたった一人で見捨てられたような気分と、言いようのない不安感に包まれていた。

フォーサイスは個人運営のカンパニーを立ち上げたそうだが、活動の規模は相当制限されるだろうし、本人も運営面の不安を口にしていた。

芸術活動の維持にはそれを支える資金が不可欠。しかし、資金だけあっても成立しない。人類の歴史上何度も繰り返されてきた命題だが、やるせなさを感じる。


こぎつね丸