観能雑感
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2004年04月29日(木) 明治神宮春の大祭 舞楽

明治神宮春の大祭 舞楽 AM11:00〜

 毎年春と秋に行われる大祭の、楽友会による奉納舞楽。何年も前から気になってはいたのだけれどいつも都合がつかず、やっと観に行けることになった。雅楽のCDは数枚所有しているし、公共放送で毎年1月1日に放送される新春舞楽は必ず見ているのだが、実際に演奏を聴くのは今日が初めて。そもそも雅楽は屋外で演奏されるものだったで、あえてコンサートホールでの演奏会には行かなかった。最初は屋外でと決めていたのである。

 本殿の前に設えられた舞台を『君子南面す』の状態で向かい合う。雲ひとつない晴天に代々木の森の緑が映え、世界の運行に自然と調和するような音楽、色彩の美しい華麗な装束を堪能した。

 管はそれぞれ4人編成。

『振鉾』
 左方、右方それぞれの舞人が一人で舞う。舞楽会の最初に舞い天地の神々と先霊を祀る意味があるとのこと。
実際に聴く大太鼓の音はまさに地鎮の音といった感。

『春鶯囀』 左方舞楽
 唐の太宗が鶯の声を聞き楽人に命じてこれを写させたものだそう。遊声、序、颯踏、入破、鳥声、急声から成るが、本日は颯踏、入破のみの演奏。
古の宮廷絵巻のような光景が眼前に広がる。平安時代の公達たちも舞ったのだろうなぁと想いを馳せる。音楽も賑やかで楽しかった。
 余談だが、私の出身地には同名の日本酒がある。しかしまだ飲んだことはない。

『白浜』(ほうひん) 右方舞楽
 由来は不明だそう。右方なので青(緑)地の袍に唐獅子の刺繍をあしらった装束がひときわ美しく、中に着た白地に袖の縁だけ赤い着物(何と言うのか知らない)との組み合わせの妙にただ見とれる。これまでの曲は鳥兜着用だったけれど、本曲は巻纓の冠に綏を着用。途中で片袖を脱いだり、垂直にジャンプするような動きがあったりと変化に富んで面白かった。

『長慶子』
 退出楽。源博雅作曲と言われていると必ず付記されるのは『陰陽師』の影響もあるのだろうか。この時は場所を移動して左方大太鼓と鉦鼓を打つ姿を近くで見た。

 雅楽装束は尻の部分を長く引きずるので踏まないようにするのは大変そうな気もするが、見た目には実に優美である。

 笙を乾燥させるために炭火が必要なのは知っていたけれど、屋外だからひょっとして電熱器を使うのだろうかとも思ったが、やはり炭火のようだった。
 
 装束を付けている時に履いているあの白い独特の沓。どのような構造になっているのか気になるのだが、見ただけ出は解らなかった。

 好天にも恵まれ、初生雅楽体験は極めて有意義であった。時間が経っても音楽が体内を循環するがごとく残っているのを感じる。


こぎつね丸