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■ twilight(聖剣LOM)
「ねぇ、私の隣で最後の夕日を見ていて。」
他になんて言えば良いのかわからなかった。
「………夕日なら今、お前の隣で見ている。 最後の夕日っていうのがいまいち意味がわからないが。」
「この世界の一番高いところで、私と一緒に最後に沈む夕日を見に行こう。」
なんて遠まわしな言い方だろう。 どうせならキッパリと言いきってしまえば良いのに。 こんな悲しげで必死な表情で頼み込めば、きっと彼は気付いてしまう。
「………聖域に行くのか?」
予想もしていなかっただろう告白に、見開く彼の紺碧の双眸。 それでもやはり気付かれてしまうのは、彼の心のどこかにも、そのことが引っかかっていたからなのだろうか。
「私だって、行きたくないよ……でも、行かなくちゃならない。 行かなくちゃならない状況に、私が世界を追いこんでしまったの。 後にも先にも道はない。ただ、聖域への道がただひとつ残されているだけ。」
反省と後悔の違いとは何だろう。 一度世界を白紙に戻した私は、何が起きても、もう二度とこの世界を失ったりしないと誓った。 見つけたもの、出会ってきたもの、作ってきたもの、手に入れたもの。 全てを無に還し、自らの手で失ったそれらを、またいちから捜し求める旅は辛く切なく悲しかった。 二度と手放したりしない。 聖域へなど………全てをまっさらな状態に洗い流してしまう禁忌の場所へなど、もう二度と踏み込まない。 そう誓ったのに。 何も知らず、世界をひとつ消してしまった自分の無知をあれほど悔いたのに。 己の愚鈍さをあれほど呪ったのに。 すべて、何も答えの出ないただの後悔だったというのだろうか。 同じ過ちは二度と繰り返さない……そう誓ったはずなのに。 私は、またあの場所へと行こうとしている。 誰よりも近しい相棒を連れて。
「……聖域には、絶対に行かないんじゃなかったのか。 この世界を消さないために、お前は旅をしているんだと言っていなかったか。」
「そうだよ。」
本来青いはずの彼の瞳は、茜色に染められて不思議な色合いで煌いている。 強い視線に射竦められているのにも関わらず、私はその瞳にしばらくみとれていた。 彼の口調が厳しく感じるのは、彼が怒っているからだろうか。 何に対して怒っているのだろう。 聖域へ自分を誘ったことか、それとも、今まで散々聞かされてきた誓いとやらを、あっさりと破られたことだろうか。
「失ったものを取り戻すため、そしてそれを二度と失わないために私は旅をしてきた。 でも……もうこれ以上駄目だもの、どこへも行けないもの。」
うまく吸えない息が頼りなげに震える。 深く息を吸いこもうと口を開くと、かわりにとめどなく言葉が溢れる。
「何をどう気をつけたって、結末はいつも同じだった。 いくら無視しようとしても、厭でも感じてしまうよ。この世界を終わらせようとする運命の流れを。 誰の力でも、抗うことは不可能だわ。結末は最初からひとつしか用意されてなかったのよ。 私は……何もできない…」
涙は自分の意思に関係なく流れるものだと感じたのは2度目だ。 もう、涙を流して石になる御伽噺など信じはしない。
「泣くなよ……どうしていいかわからなくなる。」
「巻き込んでしまってごめんなさい。きっと一人で終わらせるべきだった。」
「……俺に言うべきじゃなかったと思ってるのか。」
「あなたはこの世界の住人だもの。あなたは世界の裏側など知らなくて良かったのに。」
心を許し過ぎてしまったのだろうか。 この世界に住まう者に世界の結末を教えてしまうなど、今思えばなんと愚かなことをしたのだろう。 私が世界を救えずに、今また聖域へ向かおうとしているのは当然のことなのかもしれない。
「………さっさとしないと陽が沈むぞ。行こうぜ、早く。」
「え……?」
「何を言ったって、お前はもう聖域に行くことを決めたんだろう? 答えが出たなら、それで十分だよ。お前がそれを答えだと思えるなら。」
「でも……」
「今更怖気づいたのか?」
「そんなことないわよ!ただ、あなたは……」
「俺はお前についていくよ、俺がお前のこと正しいと思える限り、ずっとな。」
「…………。」
彼は、私の躊躇った背中を押すように肩に手をかけた。
「最後の瞬間、お前の隣にいる仲間に俺を選んでくれたこと、結構嬉しかったんだ。」
俺の最大の誇りだな。 そう言って、一度だって見たことのないようなそんな極上の笑みで微笑まれたら。 心から嬉しくて、こんなときだって言うのに幸せで、思わずにっこり笑ってしまった。 無意識に流れた涙は、気付かないうちに乾いていた。
NEXT..... _________________________ 名前は出てないが(わざとです)由良の脳内ではめっちゃ瑠璃×♀主人公 やりすぎだ。ラブラブすぎだ。恐ろしい。何かいてるんだあんた。 しかもちゃんと完結したら零れ話に投稿しようとか思ってるし。 恐ろしいよ!本当何してるんだよ!! てなわけで続きます ……が。 書いてて、同じ言葉を繰り返してしまったり(世界ってウザいくらい何回も言ってるよな)以前別の話で使った表現と全く同じ書き方とかいっぱいありまして 書いてて凹みました。セルフ凹。 やっぱ語彙少ないよなぁ……たくさん本読んでも使える語彙は相変わらず増えていない気がする。 …って、まだ全然本読んでませんが。 twilightが、今私の中でとても素敵な言葉。まいぶーむ _________________________
暗闇の中で銀の光の筋が舞う。 足元を照らしてくれる灯りなどどこにも無かったが 空高くから見下ろす月影で、どうにか魔物の姿とお互いの姿を判別することはできた。 月光を反射して煌く白刃は、なめらかにすべらかに魔物の命を絶っていく。 薄明かりに仄かに浮かび上がる青白い顔から、表情は読み取れない。
なんて、美しいのだろう。
「お前……今、俺にばっか戦わせて自分はぼーっと遠くから観戦してただろ…?」
「あ……あぁ、ごめんごめん。暗くてよく見えなくて。」
「本当かぁ?……そのわりにはしっかり見つめられてた気がするんだがな。」
「あははは……」
彼が剣を振るう姿を、こんなにもまじまじと見つめたのははじめてだ。 互いの背中を預けあうような距離で幾度となく死闘を切り抜けてきたというのに。 いつも傍に居た。 それなのに、私は今さらになって彼の新しい一面を発見している。 どれだけの時間を無駄に過ごしてきた? 私はいったい、今まで何を見ていた? すぐ隣に居た仲間のことすら、満足に理解できていない。 何を理解しようと、何を知ろうとしていたのか。
「私は………闘い過ぎたのかもしれない。」
いつからか、自分が闘うべき相手しか見えなくなっていた。 風景、人々、争い、喜び……全てのことに心が反応しなくなっていた。 ただ、倒すべき敵を探し、そのために己を鍛え、武器を鍛えて…… 世界を救うだなんて、言い訳だらけの大義名分。 私は敵を探して放浪し、手当たりしだいに殺戮を繰り返していただけだったのだ。 きっと、美しいものを探していた。 自分のすぐ隣に、いつだってあったのだとも知らないで。
「だから俺に全部倒させるっていうのか?滅茶苦茶だな……… ここらへんの雑魚なら確かに俺一人でも何とかなるが。」
「もう少しだけ、………。」
もう少しだけ、あなたを見ていたい。 物語は、確実に終章へと向かっていた。 終わることしか知らぬ時間など、止まってしまえば良いのに。 月影のもと、悠然と舞う彼の姿を、いつまでも眺めていたい。 せめて、もう少しだけ。 もう少しだけ………。
NEXT.... ________________________
なんだか不完全燃焼。 言葉が出てこないよーぅ
2003年11月10日(月)
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