on a wall
亜栗鼠



 日常の調教

始まりは何だったんだっけかな?
ついさっきのことなのに、なかなか思い出せない程苦しかった。

そうそう、食事のこと。
そしてゲームのこと。
いや、別にきっかけは何でも良かったんだろう。
自分が何も出来なくて、
全く何も出来ていなくて、
何だか全てを否定されたような、
自分の存在価値が無くなっていくような

ダメなの?
これじゃダメなの?
私はダメなの?

過呼吸起こしそうな状態になって
言葉も声も出なくなって
トイレで吐いた
頭が真っ白になっていきそうで
自分の存在が見えなくなりそうで
どうして自分がココに居るのかさえ見失いそうで
もう、歩くのを止めようとしていたり、
後ろに戻って行こうとしていたり、

頭の中だけが暴れていた。
声が出ないのはヒステリー。
以前は、一日中声が出ないままだということもあった。
声を出すことも、言葉を発することも止めようとしていたから。
「戻っちゃいけない。」
回らない頭で必死に言い聞かせて、なんとか声を探す。
なんとか声が出た。
少しだけ言葉も出た。
私、まだ立ち止まってはいない。
ゆっくりだけど、まだ歩いてる。


私に伝えようと、教えようとしていたのは
『自分で判断すること』
『自分で決定すること』


「SMは、手段であって目的ではない。」
ご主人様はそう言っていた。
そう、
きっと、手段が変わっただけ。
目的は同じ。

多分、SMの方が楽だった。
ご主人様の後ろを歩いて、
ご主人様の下に在って、
縄で縛られて鞭で打たれている方が、きっと楽だった。

隣を歩く道を選んだのは私。
それを望んだのも私。


怖かった。
自分が消えていきそうで。
自分を消していきそうで。
間違った方法で自分の存在を確認しそうで。


他人を中心にばかり考えて生きてきた私。
自分の意思で、自分で決定することを覚えなければ。
強くなる為に。
賢くなる為に。
ご主人様を、彼を、胸に刻んで生きていく為に。



今日は少し疲れました。
少しだけ、少しだけ休ませて下さい。
少し休んだら、また歩き出しますから。

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2002年09月01日(日)
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