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on a wall
亜栗鼠
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結婚の通知
友人から、結婚が決まったと電話があった。
今まで聞いている話と、声のトーンからして嬉しそうな様子は見えない。
「おめでとう・・・でいいの?」
なんて失礼なことを言ってみると
「それがね・・・」
と。
やっぱり、かなり迷っている。
以前から、日取りを決めるのは焦るな。
とは言っていたのだけど、もう11月に決まったそうだ。
彼女は、しきりに
「どうしよう、どうしたらいい?私、何を迷ってるんだと思う?」
と自分は何故悩んでいるのかを聞いてくる。
細かい不安はいくつもあるのだけれど、それは悩む程のものなのかまた悩む。
私にも心当たりはある。
マリッジブルーも重なり、余計に不安になってパニックになるのも分る。
ただ、相手のことを好きなのかどうかも分らない。
嫌な部分は沢山見えるのだけど、良い部分がほんの少ししか見えない。
それでも、良い部分が見えているのならいいのか、と思いもするのだけれど、話を聞いている限り、良い部分は嫌な部分に取り込まれていきそうな気がする。
嫌なところなんてなんにもない。完璧に理想の人!
なんてことは、まず無いだろう。
「嫌なところは見えない」
というのなら解かる。
恋は盲目の原理だ。
「恋は盲目」というのも重要だと思う。
いつか、燃え上がる恋の炎は緩やかになっても、
盲目とまではいかなくても、嫌な部分が許せるかどうか。
それが重要なんだと思っている。
それを吹き飛ばせるだけの重要な部分が必要なのだ。
私の場合、とても大雑把な良い方かもしれないけれど、
「尊敬出来ること。」
それが出来なくなってしまうと、何もかもがどんどんと崩れていく。
私は、実際に彼女の婚約者を知っているわけじゃない。
だから、私の言っていることは彼女から聞いた情報からのみの憶測にしか過ぎない。
私は、別に彼女に相手のことを嫌いになって欲しいわけではない。
いくら私が嫌だと感じたとしても、彼女が許せるのならそれでいいのだ。
だから、あまり先入観を入れたくは無い。
私があまり人の悪口を言わないのも、他人に先入観を植えつけたくないから。
私が嫌いな人は、誰もが嫌いになって当然だなんて思わない。
誰が誰のことをどう思っていようが私には関係ないこと。
当事者が自分で感じればいいことなのだ。
ただ、彼女の婚約者と、私の前夫。少し重なる部分がある。
彼女の婚約者と私の前夫が重なるというよりも、
彼女の婚約者に対する気持ちと、私の前夫に対して感じていた気持ちが重なるのだ。
だから怖いのだ。
彼女は私をずっと見てきているはず。
彼女と私は違う人間なので、同じ結果になるとは考えられないが、辛い思いをする可能性は大きい。
離婚することは容易いことではない。
離婚することよりも、結婚をやめることの方が簡単だということは伝えておいた。
買ってまで苦労をする必要は無い。
よく考えろと。
それ以上、私に何が言えたんだろうか?
大丈夫だよ。と安心させてあげればよかったというのだろうか?
諦める方法を教えてあげればよかったのだろうか?
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2002年07月25日(木)
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