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on a wall
亜栗鼠
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出会い
この日記、実は何度か全削除して書き直しています。
以前から読んで頂いている方はご存知でしょうが、彼との出会いはweb日記。
前にも書いたけれど、私は一人で生きていく力が欲しかった。
彼の日記に、そのヒントがあるような気がして、何か強いものに惹かれてずっと読ませて頂いていた。
コンタクトをとることはなかった。
何度かメールを出そうかと思ったことはあったけれど、なんと綴ればいいのか言葉が出てこず、結局メールを出すこともしなかった。
ある日、メッセンジャーのアドレスを見つけ、お話ししてみたくて登録した。
何を話せばいいのかも分らなかったけれど、一行ずつの言葉のやりとりなら何か話せるかもしれないと思ったから。
挨拶だけでも。
読ませて頂いています。の一言だけでも。
そう思っていた。
それから、時々メッセンジャーで他愛も無い話しをするようになった。
お互いに住んでいるところを詮索することもなかった。
もちろん、会うつもりなど全くなかった。
彼はサディスト。
心の隙に入り込むのが上手い。
それを知っていて私も隙を見せていたのかもしれない。
少しずつ悩みを打ち明けるようになっていた。
そして、会話の中から会おうと思えば会える距離にいることを知った。
その時はまだ会うつもりはなかった。
数日後に、「一度実際にお会いしたいですね。」とは言ったものの、私の中でも
<いつか・・・>
の話しでしかなかった。
その後、少しずつ自分の話しを聞いてもらい、電話で話した時には泣いていた。
彼の方から、「近いうちに一度会いましょう」と言ってくれるようになった。
まだあまり深く悩みを話してはいなかった。
身体の関係を持つつもりはなかった。
もちろんSMの世界に入り込むつもりもなかった。
SMに興味が無かったわけではない。
自分に少しM気があることにも気付いてはいた。
けれど、ハードSMに興味はなかった。
「大丈夫。私はハードSだから。」
何が大丈夫というのか・・・?
と思っていたけれど、その意味は随分と後になって身をもって理解することになった。
決して強要することもなかった。
「あなたが望むのなら堕ちておいで。」
と言っていただけだ。
私のことを「篭の鳥」だと言った。
「長い間篭の中に閉じ込められた鳥は、飛ぶ事を忘れてしまうんだよ。」
と。
「飛ぶ事を教えてあげよう。」
と言った。
「居場所を求めているのではないですか?」
と。
その頃の私は、居場所を見つけてしまうことすら恐れていた。
飛びたいのか、
居場所が欲しいのか、
それすら分らなくなっていた。
折角諦めようとしていたのに
心を無くしてしまおうと決心しようとしていたのに
もう少しで諦められそうだったのに
「私の心を乱さないで」
そんなことも思っていた。
心なんて持っていたら、苦しくて生きていけなくなりそうだったのだ。
きっと、彼はそれに気付いていたから「会いましょう」と言っていたのでしょう。
彼と出会う少し前までは、
居場所を、安らげる場所を必死で捜し求めていたような気がする。
もう、それすら止めてしまっていた。
すっかり飛ぶ事を、囀ることを忘れてしまっていた。
自分でも気付けないくらい心が疲れ過ぎていた。
私は、「心が無い」と云う彼を見たかったのだ。
どうすれば心を、感情を無くせるのか
それが知りたかったのだ。
長くなったので続きはまた次回に
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2002年06月16日(日)
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