日日雑記
emi



 性格別背景処理

相方もあたしもトーン作業が嫌いである。むしろ憎んでいると言っていい。二人して「いっそデジタルワークにしてやろうか」と意気込んでいたが、ComicStudio等はデータ処理が重そうで二の足を踏んだままだ。

先日会ったとき「トーン専用ソフトなら軽くて済むらしい」という話題から、ちょっと面白い話になった。

「あたし集中線とかほとんど使わないしなー。アミはいっぱい使うけど」
「そうね、お話も割と淡々と進むし。あたしは1作に必ず1回乱闘だの罵り合いだの描くから必要だなあ……ベタフラも」
「熱血でロマンティストだもんね」
「性格出るよね、恐ろしい;」

ちなみに相方の最新作を見てみると、アミと点描のバリエーション以外、トーンはあまり使われていない。できるだけ厳選し削ぎ落とす、彼女らしい画面処理である。片やあたしはと言えば、グラデやベタフラ稲光に月花おどろ血飛沫とてんやわんやの状態だ。その上あちこちでチャンバラだし、爆発崩落、泣いて叫んでうるさいったらありゃしないのである。

どんなに隠しても描き手の本質は画面に現れる。使うトーンひとつ取ってもそうだ。
ネット配送が悪くて大騒ぎになった鋼の最新刊を引っくり返しつつ、作者の荒川さんという人がなにやら身近に感じられてしょうがない(畏れ多いことだが)。
主人公たちは処狭しと画面を縦横無尽に走り、叫び、飛び、怒り、泣き、笑う。彼らの曳く走行線や発するフラッシュを、弾ける鼓動をしたたる血を流す涙を、砕け飛び散る瓦礫の欠片でさえ、あたしは愛する。
彼女の中にたぎって止まない情熱は、あたしがやりたくてできないことの遥か上を楽々と飛翔してゆく。それは恐ろしいほどの快感だ。

さえぎるものはぶっ飛ばして まとわりつくものかわして
止め処ない血と涙で渇いた心臓潤す

全力少年たちはどこまで駆けていくのだろう。






2005年11月25日(金)
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