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 ファンタジーランド観光ガイド

Amazonさんからずーっとオススメされていたダイアナ・ウィン・ジョーンズの『ファンタジーランド観光ガイド』(東洋書林)を購入しました。
自他共に認めるファンタジー音痴を少しでも矯正したいなあと思ったのですが、この本、なかなかにツボを突いてくれました。
観光ガイドと銘打ってあるとおり、読者手持ちのファンタジー小説を「架空の国の観光パンフレット」、作家を「ファンタジーランド旅行公社」、読者を公社のツアーに参加している「ツーリスト」にそれぞれ見立てた仕掛けになってます。

導入部分ではパンフレット(つまり小説)をチェックする上での注意事項が書かれ、出発地点を確認させ、旅支度の必需品を紹介します。その後、ファンタジー小説によく見られる用語の詳細な解説が延々続くのです。

用例をあげるとこんな感じ。

【王女】Princess
2種類に大別される。
1.弱虫。
2.元気があって、強情。いくらか上を向いた鼻の付け根あたりにそばかすがあるので、それと見抜くことができる。しばしば少年の姿に身をやつしており、庶民の出ながら抜きん出た人物と結婚する。この庶民は驚くべき確率で、長らく行方の知れなかった王国の世継ぎであると判明する。

……いかがでしょうか。ファンタジーがお好きな方が、思わずニヤリとしてしまうであろう項目が目白押しなんです。

ガープス(汎用RPGルールブック)を見ると、多くのRPGがある一定の法則のもとに作られていることがよく分かります。そこに魅力的なオリジナル設定を加味して、人気作品が誕生するのですね。
ガイドブックも趣旨は同じですが、こちらは多少の皮肉も含まれているのが面白いです。

作者のダイアナ・ウィン・ジョーンズはアニメ『ハウルの動く城』で一躍有名になりました。彼女はガイドブックのお手本として『ダークホルムと闇の君』という作品を書いており、両者を比較しながら読んでみるのも面白そうです。

2005年06月18日(土)
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