出向コージ苑

2003年10月25日(土) 北の大国(1)

島流しにあう罪人の心境で、
空港へ向かうコージ苑だったが、
やはり今日から日本出張のベケ教授と偶然一緒になり、
空港でコーヒーをおごってもらったので、
ちょっとだけ気分が良くなった。
相変わらずのゲンキン野郎である。

今回のルートは、スロ→ウィーン→ストックホルム。
途中、旅行者の女性と立ち話を交わしたりして、
待ち合わせ時間の退屈は幾分解消できたものの、
やはり気分は「快晴」にはならない。

こうなったら、ついでに観光して楽しんじゃおう、
という心境になったのは、
ストックホルムに向かう飛行機の中。
市内上空を飛んでいるとき、
窓から見えた夜景がきれいだったのである。
点在する島ごとにまたたく光の群れを眺めていると、
それがアメーバの様に形を変えていきそうな錯覚に陥る。
想像していたよりもひっそりとした町の光に、
なんとなくほっとしたコージ苑だった。

さて、飛行機を降りたとたんに、
EUを実感させられた私である。
パスポートチェックがなかったのだ。
未だEU外のスロからオーストリアに入った時には、
パスポート審査があってスタンプをドンと押されたのだが、
国境協定だか何だかで、
それ以降EU内を移動するなら、
チェックはないらしい。
ちぇ、スウェーデンのスタンプ欲しかったな。

空港から市内へ向かうシャトルバスに乗る。
片道で800円ぐらい。
ううう、やっぱり高いよう。
時間にして約50分、中央駅のターミナルに到着。
そこは都会だった。
徹底的に都会だった。

旅行会社がくれたホテル周辺の地図が、
あまりにも「周辺」すぎたもので、
駅からの道がわからない。
改札口で警備をしていたお兄さんに、
おそるおそる「この道に行きたいんですが…」と言ってみると、
見事なほど流暢な英語で答えてくれた挙句、
わざわざ外に出て説明してくれた。
・・・かーんーどーうーしーたー。
しばらく「警察=一般人は無視」という国にいたもので
(平たくいえばL国である)、
思わぬところでスウェーデンの株をあげてしまったコージ苑。

ホテルでチェックインする前に、
夕食を調達せねばなるまい。
しかし、今回の旅行でレストランは破産を意味する。
どうしよう…ときょろきょろする目にうつったものは!
うつったものは!!

セブンイレブンじゃないですか!!

かーんーどーうーしーたー。
セブンイレブンですよ。
コンビニですよ。
明太子おにぎりですよー!←無いから
はやる心を抑えつつ、店内に入る。

おおお、これぞコンビニという風景。
さて、何にしようかなと見回し、とりあえずビール。
今日はデンマーク製のやつ。
それから、テイクアウトのタイヌードル。
鼻ピアスした店員のお兄さんに頼むと、
この一言が。

「あたためますか?」

…………あたためて!ついでにコージ苑の心も!!
なんてベタなことは言いませんでしたけどね。

かーんーどーうーしーたー。

コンビニでこの始末では、
帰国してファミレスにでも行った日には、
コージ苑泣いちゃうかもしれない。

※※※※※

乙川優三郎『蔓の端々』講談社文庫
今回の両親文庫の中に入っていた一冊。
時代小説なら、今はこの人だとコージ苑は思っている。
このお話は、執政に関わる人々(大木)に翻弄される、
下級武士(=大木に寄るしかない蔓)の生き方を書いたもの。
この人の作品を読むといつでも感じることだが、
大木を組織の上層部に、蔓を下層部の人々に置き換えれば、
現代の話として、そのまま通じるのだ。
時代がかわっても、やってることは同じってことかしら。


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