午前中、L国へ戻る七味屋氏を見送る。 帰宅前に大学に寄ったところ、 コージ苑を見るなりベケ教授が言った。
「コージ苑さん、ビザ取れましたよ」 「本当ですか?やったあ」 「で、すぐにスウェーデンに行って、 ビザをピックアップしてきてください」
・・・ひどい。
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ここで、コージ苑がビザをピックアップするのに、 何故スウェーデンに行かなければならないか、 その辺の事情から書かねばなるまい。
本来ならば、日本の国籍をもつ私がビザを申請するのは、 日本国内でなければならない。 しかし、そのためだけに帰国するのは、 時間と金を大幅に浪費することになり、 それは貧乏教師にとっては、 「そ、それは御無体な!」的要求なのだ。 何か抜け道はないかと探るうちに、 ある方法が見つかった。
コージ苑は確かに日本人であるが、 申請時にL国の長期滞在ビザを持っていたため、 形の上では「L国の住人」扱いされるというのだ。 ということは、L国を管轄するスロ大使館で、 申請取得を行うことが可能となる。 そして、それがスウェーデンにあった、というわけ。
確かに、日本に帰国するよりは距離も近く、 航空運賃も安くあがる。 だから、ビザが取れたら、 一番近い連休でも利用して行けばいいか、 コージ苑はそんな風に考えていたのだ。
それなのに。
今日連絡がきて、明日飛べというのは、 いくらなんでもちょっと…と渋るコージ苑に、 こういう情報が追いうちをかけた。
「来週火曜日までに事務にビザを提出しないと、 今月分の給料がチャラになる」
・・・ひどい。
ここで「なんだそりゃ」と叫ばなかっただけ、 コージ苑は自制心を持ち合わせていると言えよう。 契約書は10月1日づけで、 自分はその通り、1日からフルに勤務してきたわけだ。 それなのに、ビザがないと給料がチャラだなんて、 今ごろ言い出すとはどういうことだ。 欧州は契約の社会ではなかったのか。 しかし、それが決まりだと言われれば反論もできない、 弱い立場の「ガイコクジン」は、 泣く泣く航空券を購入しに行った。
そして、この「世界残酷物語」はまだまだ続く。
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飛行機というものはまことに便利なものであるが、 私たちは自家用機を持たない限り、 航空会社の決めた、わけのわからないルールに振り回される。 その一つに、今回コージ苑は泣かされたのだ。
大使館が開いているのは、当然平日である。 日曜日の夜にあちらについて、 月曜日の朝一番にビザをピックアップし、 その日のうちに帰りの飛行機に乗るという日程が、 仕事の都合と懐具合の両方にとって良いと、 コージ苑は判断した。
しかし、ここで登場する悪魔の規則。 おそらく国際線に限っての話だと思うが、 週末をはさんだ日程でないと、 航空運賃が倍近くかかってしまうというルール、 皆さんはご存知だろうか。 平日に飛ぼうが休日に往復しようが、 乗る飛行機も飛ぶ空も変わらないのに、 どういう理由でこのルールがあるのか、 コージ苑にはわからない。
結局、現在考えうる中での最安値をとる航空券は、 明日(土曜日)に出発し、火曜日の午後に戻るものだった。
ああ・・・ああ、 物価高で有名な北欧の町に、3泊4日。
もう一回言っていい?
・・・ひどい。
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