出向コージ苑

2003年07月04日(金) 「気」

今日もまた部屋を見に行った。
問題の物件、立地は最高である。
市場のすぐ近くにあり、中央駅へも歩いて行ける。
家賃も条件内におさまる。
大学に通うのも徒歩圏内。
窓も大きく、眺めも良い。

しかし、自分でも不思議なほどに気が乗らない。
後でつらつら考えてみるに、
原因はあの部屋の「気」だろう。

といっても、別にコージ苑がオカルト趣味なわけではない。

そこには、家主の母親が長年住んでいたそうだ。
そして部屋は、昨日空いたばかり。
…と聞いた瞬間、「『空いた』ってつまり…」などと思ってしまったが、
何が原因にせよ、そこは問題の本質ではない。

ある人が長い期間住んでいた部屋には、独特の雰囲気が漂っている。
それは、まるで「今ちょっと留守にしています」、
とでも言いたげな、自らの存在を主張する空気である。
コージ苑が知るはずもないおばあさんの姿が、
ソファやら風呂やら台所やら、
果ては皿の一枚一枚にうつしだされるような、
そんな「気」を、この部屋は持っていた。
そしてコージ苑には(仮にここに住むとして)、
その「気」を塗り替えられる自信も気もないのだ。

気に入った物件というのは、中々見つからないものだ。
まあ、来週があると気楽に考えて…いたはずが、
やはり気にかかっているのか、寝付けなかったコージ苑だった。

※※※※※

眠れない時は、潔くあきらめて本を読むに限る。
お茶つきで。

真保裕一『震源』 講談社文庫
気象台から始まる、男ばっかりのハードボイルド。
きっと次のページでは、と期待してめくっていたら、
わくわくするヒマがないままに終わってしまった。
しかも、最後の最後で主人公が誰だかわからなくなってしまったという、
履歴書の趣味欄に「読書」と書く人間にあるまじき失態。
なぜここまでガックリきたかというと、それは多分、
裏表紙の「事件の裏に渦巻く国家的陰謀!」というのに、
徹底的に期待を持ってしまったものと見える。
こういう人間がCDの「ジャケ買い」とかするんだ、きっと。


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