ベケ教授宅には、広い庭がある。 リビングの窓から手を伸ばせば届くところに、 一本のアンズの木があり、 まさに今現在、黄色い果実がたわわに実っている。 ここ数日の、コージ苑およびJ嬢の朝食である。
おそらく、ベケ教授が帰ってくる頃には、 一つも残っていないことと思われる。 ごめんなさい教授、果物泥棒は私達です。 ああ、おいしい。
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部屋探しに頼もしい助っ人が登場した。 今年で大学の日本語科を卒業するティンカーベル嬢である。 件の不動産に知り合いがいるとかで、 電話連絡をとってくれたり、条件を絞り込んでくれたり。 今日も一つ、部屋を見に行った。 大学から歩いて10分程度の、ごく普通のアパート。 中はきれいで、台所が大きく新しいところが良い。 しかし、これといった決め手がないので、返事は保留。 恋人も部屋も、選ぶときに「決め手」というのは必須である。
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北杜夫『大日本帝国スーパーマン』 新潮社 以前読んだのは、小学生の頃だったか、中学だったか… その時には「ふーん」で終わらせた話であったが、 今読み直してみると、収録3作はいずれも、 異文化に接触したときの人間の感情を扱っている。 傑作かと問われれば「違う」と言うだろうが、 一度読んでみる価値は、確かに持っている本である。
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