出向コージ苑

2003年04月21日(月) 遠くまで行こうよ

コージ苑の方には何も問題がなかったのだ。
本来のスケジュールに沿うならば、朝8時近くの飛行機でウィーンへ。
4時間近くの待ち合わせの後、改めてL国へ。
そういう予定だったのだ。

先述のとおり、かなり無理をおしてやってきた七味屋氏である。
ウィーンから車で来たとすれば、帰りも当然車ということになる。
さすがに一人で夜中の高速を走りたくなかったとみえ、
彼はコージ苑に、ウィーンまでの航空券を捨てろと「お願い」してきた。
それを断るほど、コージ苑は鬼ではない。
大体今回の旅行は、半ば自分のわがままから決まったようなもんだ。
いいでしょう、長距離ドライブに付き合おうじゃありませんか。

早起きして、というよりは深夜に無理矢理起き出して、
リュブリャーナを出発したのは午前3時半。
当然深夜の町に、開いているガススタなどあるわけもないのに、
既に貧乏ランプをつけている彼の借り物アウディ。
だ、大丈夫なのか…?とやきもきするコージ苑をよそに、
沈着冷静に車を走らせる七味屋氏である。
どうやら彼にとって目下の最大の関心事は、
ガソリンよりティッシュにあるらしい。
風邪からくる鼻水が止まらないのだ。相当気の毒。

高速のインターでアウディ君はガソリンをおなかいっぱい補給、
七味屋君は袋いっぱいのティッシュを購入、
コージ苑は缶コーヒーでカフェイン補充(甘かったけどな)。
というところで、改めて出発。目指せウィーン。

途中休憩もはさんで、ウィーンの国際空港には9時前に到着。
無事チェックインも済ませ、空港内で朝ごはん。
ハラスレーとパンとハムとサラミ、ナスとズッキーニのマリネ。
さて、と口にした途端、思い出したのはここがドイツ語圏だということだ。
しょっぱい。どれもこれもしょっぱい。
ハラスレーはわかる。ハムとサラミもまあわかる。
なぜマリネが塩辛いのだ。謎。

一足先に飛び立った七味屋氏を見送った後で、
買物でもしようかと空港をうろついたコージ苑だったが、
手持ちのユーロもなく、小額の買物でカードを使うのも気が引けて、
結局何ひとつ購入しないまま、搭乗時間までを居眠りして過ごした。

3時間のフライトを終え、無事L国に着いてみると、
この国にも青空が広がり、少しだけ木に緑が見えた。
世界的に(正確に言えば北半球に)春が来ましたよ。

短い時間に色々な事があったけど、もう一度落ち着けるきっかけとなった。
今回の旅行はまあ、そんな感じ。お疲れ。

※※※※※

ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』
旅行のお供には短編がいい、と思うのは私だけ?
各賞総なめにしたインド系美女作家(←ワイドショー的表現)のデビュー短編集。
クレストブックの文庫化。クレストは相変わらずいい選択をするなあ。
表現力は各方面からの折り紙つき、どれを読んでもそれなりに感動するとあれば、
後は自分の趣味による、自分のためのお気に入りを選ぶだけ。
コージ苑はラストの2本「ビビ・ハルダーの治療」と「三度目で最後の大陸」。
前者は読後すかっと胸がすき、後者は静かに世界が開ける。

河野多恵子『秘事・半所有者』
ごく幸せな夫婦生活を延々と綴る「秘事」は、それゆえ読中少々退屈かもしれない。
しかし、ラストに近づくにつれて浮上してくるテーマに気づいた時、
些細なエピソードすら見逃せなくなる。
結婚予定の人もそうじゃない人も、少なくとも一日は考え込むこと請け合い。
短編の「半所有者」。ザッツ川端康成賞。


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