足を見せますか、見せませんか。
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花の話である。 池坊流では、花の足元は極力見せないように活ける。 平たい水盤ではことさら気をつけないと、剣山にささった複数の花の足元が、 ごちゃごちゃとした印象を与えてしまう。 しかし、この場合は剣山の針が花の重さをきっちりと支えてくれるわけで、 一度決めた形は、きちんとケアしてやれば崩れる事はない。
秋からの仕事で、どうも華道茶道が必要になりそうな雲行きに、 多少の(というかかなりの)焦りを感じているコージ苑である。 今日の華道教室で、先生が午後に投げ入れをなさると聞きつけ、急遽見学をお願いした。 花材は、ユーカリの枝とカラー、その他あしらいの花々。 花器はほぼ球形の、口の狭い壺である。 かなり大きな枝ぶりのユーカリを、先生はいつものように、ためらいなく剪定する。 ただ、それを活けても中で動いてしまうよなあ…とコージ苑がぼんやりと思っていた矢先に、 先生はバキバキと脇の枝を折り、それをギュウギュウとつぼの中に押し込んだ。 こうやって、壺の中にいわゆる「網」をつくるのだそうだ。 似たような手法を、フラワーアレンジメントで見たことがあるが、 そうか、華道も一緒のやり方をするのか。
ふと思って質問した。 「でも、透明な花器では、中身が見えてしまいますね」 先生によると、だからフラワーアレンジメントの場合は、水に入る部分の葉を落とすんだそうだ。 花の足が見えた時にも美しいように。 (勿論、華道でもガラス器を使う場合はある。) そして、垂れるものは自然に垂らして使うんだそうだ。 これは逆に、水盤には向かない。 だから、花を見て花器を決めろと。
考えてみれば当たり前の事。 しかしこれは同時に、知らなければ知らないままの事。 何となく清々しい心地がした午後を過ごしたコージ苑であった。 たまには、こういう日もあるのよ。
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