出向コージ苑

2002年07月13日(土) 見せるか、隠すか

足を見せますか、見せませんか。

※※※※※

花の話である。
池坊流では、花の足元は極力見せないように活ける。
平たい水盤ではことさら気をつけないと、剣山にささった複数の花の足元が、
ごちゃごちゃとした印象を与えてしまう。
しかし、この場合は剣山の針が花の重さをきっちりと支えてくれるわけで、
一度決めた形は、きちんとケアしてやれば崩れる事はない。

秋からの仕事で、どうも華道茶道が必要になりそうな雲行きに、
多少の(というかかなりの)焦りを感じているコージ苑である。
今日の華道教室で、先生が午後に投げ入れをなさると聞きつけ、急遽見学をお願いした。
花材は、ユーカリの枝とカラー、その他あしらいの花々。
花器はほぼ球形の、口の狭い壺である。
かなり大きな枝ぶりのユーカリを、先生はいつものように、ためらいなく剪定する。
ただ、それを活けても中で動いてしまうよなあ…とコージ苑がぼんやりと思っていた矢先に、
先生はバキバキと脇の枝を折り、それをギュウギュウとつぼの中に押し込んだ。
こうやって、壺の中にいわゆる「網」をつくるのだそうだ。
似たような手法を、フラワーアレンジメントで見たことがあるが、
そうか、華道も一緒のやり方をするのか。

ふと思って質問した。
「でも、透明な花器では、中身が見えてしまいますね」
先生によると、だからフラワーアレンジメントの場合は、水に入る部分の葉を落とすんだそうだ。
花の足が見えた時にも美しいように。
(勿論、華道でもガラス器を使う場合はある。)
そして、垂れるものは自然に垂らして使うんだそうだ。
これは逆に、水盤には向かない。
だから、花を見て花器を決めろと。

考えてみれば当たり前の事。
しかしこれは同時に、知らなければ知らないままの事。
何となく清々しい心地がした午後を過ごしたコージ苑であった。
たまには、こういう日もあるのよ。


 < これまで  もくじ  これから >


コージ苑