月のシズク
mamico

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■ 火傷には「熱冷シート」

インスタントのお吸い物を作ろうとして、お椀に熱湯を注ぎ、
テーブルに運ぼうとしたとき、寒さで手が震えていたことに気づいた。

ぐらっとお椀の中身が揺れ、ほんの数滴、手の甲に飛んだ。
「まずい、置かなきゃ」と思った直後に、痛いような熱さを感じ
「こぼれる」と思った次の瞬間に、ざばっと左の甲に流れた。
意識された後に行為が反復される、ということなのか。

床に転がったお椀をそのままにして、シンクの蛇口をひねり、
真っ赤に腫れ上がった箇所めがけて、ざばざばと流水をあてる。
「痕にならないためには、何よりも先に水で冷やし続けること」
と、祖母が言っていたことを思い出す。それにしても、冷たい。

そもそも、温まろうと思ってお吸い物を作ったくらいだから、
身体は最初から冷えていたし、手先だってギンギンになっていた。
その状態で冷水をあて続けるのだから、嫌でも冷える。心底、冷える。

シンクの縁に両肘をのせ、前屈するようにアタマを垂らす。
冷やしているという行為を忘れようと、青いキッチンマットを見つめながら
でたらめに歌を歌ってみる。片手だけ冷やされているのは、アンバランス
なのではと急に思い立ち、火傷していない右手も一緒に流水の中に入れてみる。
とにかく、耐えうるまで冷やし続けた。

その続きは、冷凍庫にある保冷剤にしよう、と蛇口をしめ冷蔵庫のドアをあける。
あるじゃーん、いいもの。と、取り出したのは解熱のときに使う「熱冷シート」。
ぴらっとシートを剥がし、赤く腫れて、でも氷のように冷たい甲に貼る。
今も貼り続けているのですが、なんとなく熱が吸収されているみたい。
お願いだから、痕になってくれるなよー、と祈ってみる。

しかし、片手が使えないと不便ですね。
お化粧を落とすのも、お皿を洗うのも一苦労です。



2002年02月16日(土)
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