月のシズク
mamico

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■ 花を活ける

初めて、お正月用の玄関の花を活けました。
これは毎年祖母の役目で、なんというか、とても大切な儀式のようなものでした。
冷たくしんとした玄関で、パチンパチンと松の枝や花を切り、確実な位置を定め
剣山に刺し、ひとつの完結した空間を作りあげる技。芸術というより、お正月を
迎えるための儀式、という表現が的確かしら。

なのですが、今年は活ける花の種類について母と祖母の間で一悶着あって(苦笑)
「わたくしはもう知りません」と匙を、いや鋏を投げてしまわれたのです。
ガラス台の上に取り残された、罪のない花々よ(苦笑)・・・で、恐る恐る
「私がやってもいい?」と聞いたところ、母は眉間にシワを立てて咎めたけれど、
祖母は「やってみなさい」とあっさり鋏を渡してくれた。言っておきますけれど、
私、お花なんて活けたことないんですよ。でも祖母から許可が出た嬉しさで、
緊張しながら生まれて初めて活けてみました。

「意味を考えなさい。この松がここに在ることの意味を。
 この千両が在ることの意味を。
 そうすると花の立ち位置はおのずと決まるのです。」

という祖母の呪文のような言葉を思い出しながら、庭木から切った松の枝を、
祖父が植えた千両とシンビジュウムを、白百合の葉を、活けましたさ。
中央後方に三本の松。それを取り囲むように両側にも枝が湾曲した松を。
千両は左奥のオアシスに背の高いものを、手前に低く水に這わせるように。
シンビジュウムは右手に・・・などなど。

ほら、わたくし、空間把握能力がゼロなので、瞬発的な想像力(よく言えば感性)
を駆使するしかない。それに失敗したら、お正月さんをお迎えできないわけです。
そのプレッシャーがいい感じに作用して、思いのほか楽しく生けることができま
した。完成品を見て、祖母が「いいわね。とてもいい」と言ってくれたときには、
心の底から嬉しかったです。いやー、日本の文化は奥が深い。
だからその深淵をのぞきたくなるし、触れたくなるんですよね。


それにしても、祖母の「意味を考えなさい」という言葉、背筋が伸びる思いです。






2001年12月31日(月)
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