月のシズク
mamico



 I am Lost

朝起きたら腕時計が止まっていた。
12:05を指したまま、三本の針はぴたりと動くのをやめてしまった。

それはどおってことのない腕時計だった。
学生の頃、香港の免税店で買った高くも安くもない、
どこにでもありそうな時計だった。

文字盤のガラスには細かい傷が無数に付いていたし、鎖の部分は重すぎた。
なんとなく手にとり、なんとなく左手首に付けていた。
時間を確かめるために見られることもあまりなく、会社でも家でも
すぐに外された。なんというか、私はとても失礼な扱いをしていたと思う。

しかし、その時計がひっそりと息を止めてしまった今、
私は少し戸惑っている。24時間でぐるりと一回りする針は、
私の代わりにずいぶんと時を刻んでくれていたように思う。
確実に動き続けるそれは、実のところ私をしっかりと支えてくれていた。

その事実を知って、私は朝から途方に暮れている。
やけに軽い左腕が寒々しいのは気のせいだろうか。




2001年12月07日(金)
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