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■ 泣く若者
午前零時近く 家路を急いでいると、ねじれたようなうめき声が聞こえてきた。 闇に眼を凝らすと、Tower Recordの前に設置されたベンチにふたつの影がみえた。 歩くスピードを少し落として、私はなにげないふりをして前を通り過ぎる。 もちろん、耳と眼をしっかりすませながら。
うめき声だと思ったのは、男の子の嗚咽だった。 男の子といっても、高校生か大学生くらいだろう。 そばに恋人らしき女の子がぴったりとよりそって、彼のあたまをなでている。 でも男の子の嗚咽は激しくなるばかりで、押し殺した叫びのような鳴き声が 夜の空気をわずかに震わせていた。
私は、純粋な好奇心と純粋な邪心でふたりをみつめてしまった。 そして、男の子の眼が涙できらきらひかっているのを見た。 流された涙は、きっと彼の心を落ち着かすでしょう。 涙にはそんな心の鎮静作用があるから。
そして、私がいちばん知りたかったのは、そばにいた彼女のこと。 泣きじゃくる彼の髪をなでながら、彼女はなにを考えていたのか。 今はそれが、すごく、気になる。
2001年11月26日(月)
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