ムッキーの初老日記
DiaryINDEX|past|will
私が結婚したての頃に勤めていたデパートに 大槻さん(仮名)という同僚がいた。 彼は確か私より2歳年下で、当時23歳ぐらいだったと思う。
デパートマンだけあって、売り場では一見、物腰柔らかく爽やかな好青年なのだが 実は相当コワイ男だったりした。一言で言えば
ヤンキー・・・?
うーんちょっと違う・・・。彼は何に分類されると言えばいいのか・・・。
茨城はヤンキー文化圏。 ヤンキーだったと説明するのが一番早いのだが、それともちょっと違うのだ。
身内や仲間にはこの上なく優しい男。 その分知らん人には容赦なかったりする。
愛車をそれはそれは大事にしており、冬はもの凄い長時間暖気をしていた。 彼とは同じ月極駐車場を借りていたのだが、私より早く帰ったはずなのに 後から行くとまだ暖気していた、なんて事は日常茶飯事だった。
「大槻さん!まだいたの?なにやってんの?」
「おう、いやまだ水温計がよ、上がって来ねえんだよ。 ここまで(とメモリを指差し)上がらねえうちは動かさないって決めてんだよ。」
「あーそう(; ̄ー ̄)・・・がんばれ。んじゃ、お先に。」
「なんだよぅ、冷てえなー。ムッキーももっと暖気したほうがいいぞ。 エンジンかけてこっち来て話しでもするべよ〜。」
これで何回彼の暖気に付き合ったかわからない。
そんな車を大事にしている大槻さんの濃紺の車が、ある時真っ白に汚れていた。 仕事が忙しく、休みもないので洗車が出来ないのは知っていたが あまりに真っ白だったので、思わずドアのところに指で
『汚ねーぞ!洗車しろ♪』
と冗談で書いておいたら・・・ 翌日売り場に行くと大槻さんが青筋立てて寄って来てこう言った。
「ムッキー、聞いてくれよ。俺の車に誰かが落書きしやがったんだよ。」
あ、それ私、と言おうとした私を遮って彼はなおも続けてこう言った。
「ちくしょー許せねえ!草の根分けても探し出してぶっ殺してやる!」
Σ( ̄□ ̄;)ひー!こ、殺される! 彼は本気だ。殺しはしないだろうが、半殺しぐらいは平気でする男だ。 ばれる前に自白したほうがまだよさそうだ。
「あ、あの、あの、それ書いたの、私なんだよ・・・・」
おそるおそる告白した私に、鬼の形相の大槻さんの顔が変わった。
「なーんだよ〜ムッキーだったのか〜!はははは! ならいいんだよ〜!そっかそっかー( ^□^) 俺はまたどっかの知らんヤツがやったのかと思ってさ〜。 なんだーそうかそうか〜あはっはっはっは♪」
それはまるでえびすのような顔であった。 この時ほど、大槻さんの友達でよかった!と思ったことはない。 他人だったら半殺しの目にあう所だった。
そんな大槻さんがある日真面目な顔で私にこう持ちかけた。
「ようムッキー、俺んちの家紋いらねえか?」
「へ?大槻さんちの家紋?なんでまた。 ��( ̄▽ ̄)は!プロポーズなら断るよ!あたしゃもう結婚してるんだから。」
「っばーか!ちっがーよ!俺んちの家紋のシールいらねえかって事だよ。」
車に自分ちの家紋を貼ろうと思ったんだけどさ、2,3枚作るのって高いんだよ。 それが50枚だとさ、すげえ安く作れんだ。 だからみんなに俺んちの家紋買わせて、どうにか50枚にしようと思ってんだよ。
真面目にそう説明する大槻さんの話が終わらないうちに
「私が大槻さんちの家紋なんか買ってどうしろっての!いらんいらん!」
そう冷たくあしらったら
「ちぇームッキーもダメかー。まだ1枚も売れねえよ。」
としょんぼりしていた。
あたりめーだ!
+・+・+おっちゃん君のメロディー+・+・+
|
ムッキー

|