猫の足跡
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2003年09月12日(金) 馬も人もでか尻なのだ。

 今日はヘレス観光。

 朝、国鉄駅までタクシーで出かけ、そこからアンダルシア・エクスプレスでヘレス・デ・ラ・フロンテーラに向かう。駅では、J嬢ご令息に頼まれたAVEの写真を撮ることが出来た。本当だったら、マドリーからここまでの間に乗るはずだったのが予定変更になってあきらめていた訳だから、良かった。

 電車は約1時間少々の旅だけれど、途中の風景はもう飽きるほど見たアンダルシアの草原。ずっとただそれだけ…本当に何も見るものがない。スペインって、土地が余っているんだなあとつくづくうらやましく思う(まあ、この乾ききった土地をもらってもしょうがないのかもしれないが)。

 ヘレスの駅を出ると、まだ朝方だけに一瞬さわやかだったが、あっという間にがんがん気温が上がっていった。駅から、旧市街までのバスに乗ろうとするが、バス停が分からない。う〜ん。方角的にはわかるんだけど、なんで、バス停が無いんだろう。地元の人に聞くと、「あっちだけど、歩いて行け」という。

 誰に聞いてもそういう答えだったのであきらめて歩くと、確かに、2〜3分で市内バスが集中している広場に到着し、そこから10分くらいで旧市街の広場に到着した(このあたりで、T嬢は地図もほとんど見ない私のヤマ感歩きにあきれている様子だった。ごめんね、でも嗅覚の方が正確なんだもん、たいていの場合)。こっちのバスは、ピンク色の車体に青い模様がちりばめられた、派手なカラーリングで、相鉄線で昔走っていたイケダマスオ号に似ている(ローカルネタだなあ)。

 旧市街のメインにある広場にはシェリーの黒い樽が積み上げられていて、ちょっとわくわくする。いちばんいい場所にまず広場をドンと作ってしまうヨーロッパの街づくりって、本当にいいなぁと思う。それだけで街に余裕ができるんだけどなあ。

 広場のツーリストインフォメーションで、王立馬術学校のショー日程をたずねると、今日はショーはないけれど練習が見られるとのこと。地図をもらって、しばらく歩く。この地図、建物がイラストで示されていてとっても分かりやすい◎。

 気温が更にがんがん上がる中を歩くこと10分程度。たどりついた乗馬学校は、そっけないが観光名所らしく、お客さんがちらほらと見えていた。入場券を買って入ると、普段ショーで使っていると思われる屋内馬場に案内された。座っていると観光案内アンケートの人がやってきて、アンケートをとった後「英語ツアー、スペイン語ツアー、ドイツ語ツアー、フランス語ツアーがありますが、どれに参加しますか?」と教えてくれた。ツアーが始まるまで、馬場のレッスンを見る。

 馬は、みんなすばらしい! サラブレッドとは全く違う、完成された乗馬馬の美しさを見せてくれた。柔らかそうな筋肉に被われ、すばらしく均整の取れた馬体には、本当にほれぼれとしてしまう。優美に、かつ力強くたわめられた首や、長い尾やたてがみも、太い胴も、立派としかいいようのない横幅のある尻も、王侯貴族の騎乗姿を描いた絵で見る馬のようで、馬に対する古典的な誉め言葉を体現している。はあ…としばしため息。

 一頭ずつ各自練習を行った後。本番さながらのリハーサルが始まった。音楽に合わせて隊列を組んだ人馬が演技を見せてくれる。このころになると、こちらも目が慣れてきて、馬の個性が見えてくる。
 真っ白な先導馬とジダン似(髪が…)の騎手は、さすがリーダー、ベテランの貫禄だった。練習なのに、すげーとため息が出るような一分の乱れもない動き。私は素人だけど、それでも一目でわかる段違いの凄さだ。一方、隊列の真中あたり、グレーの葦毛と乗り手は、ともにまだまだ若さ全開。すばらしい才能の片鱗は感じられるんだけれど、懸命さが少々空回りしてしまうところが、無性にほほえましい。ちゃかついている馬をうまいことなだめながらも、リハーサル最後の決め!でポジションを間違えてしまい、「あちゃーっ!」って顔をした騎手なんて、抱きしめたいわっ。
 
 英語ツアーは12時からだ、と教えてくれたのはいいけれど、結局始まったのは13時ごろだったのはスペインらしいご愛嬌。馬房や道具置き場に案内され、オリンピックの馬場馬術に出た馬とかを見せてもらって解散。これで7EUROは安いなぁ。

 その後、外の馬具屋でお買い物をして、博物館を見学。博物館でバレンシアーノという馬(もしくは馬の種類?)に出会って喜ぶ馬鹿1名。
 博物館をさっと見て、次は、ボデガに寄るもシエスタで見学はできず、ショップのみをちら見し、最後は隣の高級ホテルのカフェでお昼ごはん。いやー、サングリアは絶妙にうまいし、パスタ(なぜサラダの欄にあったんだろう?パスタ入りサラダだと思って注文したのに、ふつうのパスタが出てきた)も、サンドイッチも最高だし、カマレロはかっちょいいし。次回はここに泊まろうね、とT嬢と固く約束。

 ヘレスでは、現地在住者と見られるおばちゃん以外は、まったく日本人には出会わなかったけれど、すごく良いリゾート地って感じだ。F1ドライバーが好んでヘレスでテストするのも訳はない(笑)。次はここに滞在型でくるぞ〜。

 のんびりした後は、シエスタで人っ子一人見当たらないヘレスの町をふらふらと駅に向かう。午後3時過ぎで気温は40度…。嘘だと思いたいけど、町じゅういたるところにある温度計の全てが狂っているとしたら、それも暑さのせいだろうから、どっちでも同じだな…と錯乱気味に思う。てれてれ歩いて、ついでにスーパーで水とノート(サビオラ君が表紙だったので思わず購入。暑さで頭がおかしかったに違いない)を買ったところで時計を見たら、電車の時間にぎりぎりだということが判明。そこから急に早足で大汗かきながら駅に向かい、なんとか間に合ったものの、どっと疲れて帰りの電車では無言になってしまった私たち。めずらしく座れなかったし…。やっぱり、シエスタの時間帯にムリするものじゃないなと悟る。
 (旅行前、『もういい年齢だし、がしがし歩き回って疲れ果てるのはやめよう』とか言ってたねぇ…私たち)

 ホテルに戻って、屋上のプールで涼む。小さいお風呂のようなプールだけれど、水が冷たくて、本当に気持ちがいい。生き返るってのは、こんな感じだろう。旧市街中心のホテル屋上で、ヒラルダの塔を見ながら水遊びするのは、究極の贅沢だ…。

 プールで元気を取り戻したので、服を着替えて夕食に出る。ショッピングの中心街を眺めて歩き、こわれかけたサンダルの替わりに、夏物セール中の靴屋で派手派手しいブルーと黄色の縞模様のサンダルを購入。比較的足が大きくて幅広の私は、いつも靴屋で嫌な思いをするのだけれど、ここは大きい靴が多くてうれしい。T嬢は会社で配るおみやげ物を物色するも、あまり良いものにあたらない模様。安くて喜ばれるお土産探しって結構手間だし難しい。
 スペインで現在大人気のブランド『TOUS』には可愛い鞄やアクセサリーがたくさんあった。例によってショッピングが目的ではないけど、ちょっと欲しくなってしまった。K嬢とか好きそうだなあ…と思って、買おうかとも考えたけど、予算が許さなかった。次回ね(おいッ、また行くつもり?)♪

 夕食は、結局カテドラル近くのテラスレストランにした。いかにも観光客向けの店だけれど、選択としてはそう悪くはなかった(近隣全て満席で、運良く空いた席だったし)。冷えたカバという選択は、さらに正解。サラダ、トルティージャ(スペインオムレツ)、魚介のフリータス(フライ盛り合わせ)とも良く合った。それにしても…。この量はなんとかならないものか…。一人分の盛り合わせが、いわしサイズの魚6匹。アジサイズ4匹。イカリング10個って…。魚フライは、ふっくら揚がっていておいしいのだけれど、日本の魚フライのつもりで、骨ごと食べられるんだと思ったら大間違い。口中に骨が刺さって大変だった。食べちゃいけないんだったら、骨は取ってくれ〜って、そこまでスペイン人に期待しちゃ駄目か(笑)。

 こちらのサラダは、ドレッシングがかかっておらず、酢(北の方ではワインビネガー、こっちはヘレスのビネガー)とオリーブオイル、塩コショウの壜が出されて、自分で好みに応じて調味する仕組みになっている。あっさり系が好きな私は、いつも「お酢はたっぷり目、油は控えめ」にするのだが、どうしてもちょっとすっぱくなってしまう。今回はT嬢に調味してもらったのだけど、これがまた絶品。なんでこんなに違うのだろうか。好きだからって、攻めすぎちゃいけないのね…。

 食後のデザートについては、大きすぎて思い出したくないので、省略。T嬢はマヌー(英語読みではマグナム)たらいう、でっかい棒アイス(笑)。私はココナツアイス。食べても、食べてもまだ食べ終わらない…。食べてる間にどんどんのびてしまった出前そばのようだ。   


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