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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2004年06月20日(日)
Vol.489 リストカッター

おはようございます。りょうちんです。

先日からうちの店で働いてくれている、新人アルバイトさん。彼女はとても元気が良く、愛想も良いかわいい女の子だ。小柄なのに声も大きいし、教えた仕事の要領も良く期待のホープである。休憩時間も他のバイトくんやパートさんと絶えず笑いながら話をしていて評判も良く、屈託のない笑顔は彼女の最高の魅力だと思う。
しかし先日、彼女と一緒に仕事をしている時、俺は気付いてしまったのだ。彼女の手首に、痛々しい無数の切り傷があることを。しかもそれは、おそらく鋭い刃物によって彼女自らの手で作ったものであることを。「あ、リストカッターなんだ…」。言葉にこそ出さなかったが、ココロの中でそうつぶやいた俺はショックを受けてしまった。実際、リストカッターの存在を知らなかったわけではない。でもこんな身近にそんな人がいるなんて考えもしなかったし、生々しいリストカットの傷跡を目の当たりにしたのは初めてだった。
普段は明るく悩み事なんて全然ないように見える彼女にも、きっとたくさんの悩みがあるのかもしれない。長野の片田舎から上京してきてひとり暮らしをする中、彼女のココロのうちだけじゃどうにもならない問題も抱えているんだろう。そんな不安や苛立ちやもやもやを、自分の手首を傷つける行為によってなんとか処理しようと努力しているのかもしれない。そして彼女は好きなタレントの話なんかをしながら、いつものように曇りのない魅力的な笑顔で笑っていた。
友人から、メールをもらった。俺を励ます文章の中で、彼女もまたリストカッターだということを告白してくれた。彼女の言葉は、とても力強く説得力があったけれど。俺はどんなに悩んだって落ち込んだって、自分を傷つける自虐的な行為をすることはできない。そんな勇気すらない。リストカットなんて俺には到底できないやり方だけど、それで希望が見えてくるのなら、けして悪いことじゃないのかもしれない。