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| 2004年05月03日(月) ■ |
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| Vol.471 こいのぼりに憧れて |
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おはようございます。りょうちんです。
男ばかりの4人兄弟だったのにもかかわらず、ちびっこだった頃俺の実家にはこいのぼりがなかった。こいのぼりの代わりに、母方の祖父母からいただいたという立派な兜が居間に飾ってあった。しかし俺も弟たちも、たんすの上に地味に飾られている兜なんかよりも、小さくてもいいから大空を悠々と泳ぐ鮮やかなこいのぼりに憧れていた。こいのぼりが欲しいと母にせがんでみても、うちには兜があるでしょうと言われ、それでもあきらめきれない俺は保育園で作ってきた画用紙でできた小さくて不細工なこいのぼりを窓に飾っていた。 隣のNくんの家には、大きなこいのぼりがあった。毎年ゴールデンウィークが近づく頃になるとNくんのお父さんがこいのぼりを出してきて、風の穏やかな晴れた日には決まってNくんちの庭にはこいのぼりが泳いでいた。Nくんちのこいのぼりは大きな真鯉だけでなく、鮮やかな色の吹流しや緋鯉だって3匹も4匹もついていて、春の風に泳ぐこいのぼりファミリーがとてもうらやましかった。 玄関を開けて隣のNくんの家の庭にこいのぼりが泳いでいるのを見つけると、俺はうれしくなっていつも遊んでいる悪ガキたちや弟を誘ってNくんの家に行った。空に舞い上がるこいのぼりのしっぽをつかんでやろうとジャンプしたり、風がない時を見計らって垂れ下がったこいのぼりの中に潜りこんだり。あの頃はもっと強い風が吹いたら、このこいのぼりに乗って空を飛んでいけるんじゃないかと本気で考えていたっけ。 最近、昔ほど空に泳ぐこいのぼりを見かけなくなった。少子化や集合住宅に住む人の割合が増えたことが原因なのだろうか。今はもうこいのぼりが欲しいだなんて全然思わないけれど、街でこいのぼりを見かけるたびに、あの頃のこいのぼりがカッコよく見えた自分を思い出してしまう俺だったりする。
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