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| 2003年11月08日(土) ■ |
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| Vol.393 キャベツを刻む |
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おはようございます。りょうちんです。
イヤなことがある時は、キャベツを刻む。ざくざくキャベツが細かく刻まれていくと、胸につかえていたイヤなことまでざくざく刻まれていくようで、気分が少しずつ晴れてくる。もう長いこと主婦をやっている俺の友達が、以前そんなことを言っていた。だからイヤなことがあった時は、彼女の作った食卓にはたくさんのキャベツのサラダが並ぶらしい。何も知らない彼女のだんなさんは、そのキャベツのサラダをおいしそうに食べてくれるのだそうだ。 仕事で、ちょっとだけイヤなことがあった。行き場のない不安と苛立ちが俺の胸の中で渦を巻き、この現状から逃げてしまいたい気持ちになって、もうどうしていいのか途方に暮れかけてしまった。そんな時、思い出した彼女のコトバ。そうだ、キャベツを切ろう。キャベツを千切りにすることは、いつも仕事でやっていることだけれど。今日はいつもと違って、このイヤな気持ちまで切り刻んでやろう。そんなことを考えて、俺はさっそくキャベツを刻み出した。 包丁がまな板を叩くリズミカルな音だけが響き、無言のまま俺は一心不乱にキャベツを刻み続けた。2玉のキャベツはあっという間に千切りにされ、ザルいっぱいになった。 結局、キャベツを刻んだあともこの現状は何ひとつ変わらないままで、彼女の言ったようにイヤなことまでは刻まれていかなかったけれど。キャベツを刻んでいる間、俺はイヤなことを正面から考えることができた。逃げ出したい気持ちを忘れて、現実を見据えこれからどうしていけば良いのかを考えようとする気持ちになれた。悩んでいてもはじまらない。キャベツを刻むことがきっかけで、俺はいつものように前向きな気持ちになれたような気がした。 さて。いつもより多めに刻み過ぎてしまったこのキャベツの千切り。ちゃんと売り切ることができるのだろうか。
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