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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2003年10月09日(木)
Vol.378 場違いな家族

おはようございます。りょうちんです。

先月の初旬、母は11時間にも及ぶ大手術を受けた。生死に関わる大きな手術だったが、幸いなことに手術は成功し、術後の経過はいたって良好なのだそうだ。
さて、母の手術中、俺ら家族は手術室の隣の待合室にて手術が終わるのを待つことになった。ここは俺らだけに特別に与えられた個室ではなく、その日に手術がおこなわれる人の家族のために用意された大部屋で、ソファーやイスやテーブルの他にも小さなTVや何冊かの雑誌なども置いてあった。
午前9時に母を手術室に見送ったあと、長丁場になると言われていた俺と弟は、父を残してさっそくコンビニへと買い出しに出かけた。腹がへっては戦はできぬということで、お茶やお菓子や弁当も買って待合室へと戻った俺らは、ドアを開けて驚いた。さっきまで俺らの家族しかいなかった待合室には、他の家族が何組もやってきて座る場所さえもないほど混雑していた。父が俺らのイスを確保しておいてくれたから良かったが、少しの間コンビニの袋を下げたまま立ち尽くしてしまった。
だがもっと困ったことに、これだけの大人数が待合室の中にいるにもかかわらず、みんな静まり返っているのだ。当たり前だ。大切な家族が手術をしている間、家族は心配で騒いでなんていられないだろう。仕方なく俺らもコンビニの袋からは何も出さず、しばらくはおとなしく持参した本を読んだりしていたのだが。1時間が限界だった。我慢しきれなくなった俺は弟に目で合図を送ると、一斉にコンビニの袋を開けた。俺が買ったざるそばはちょっと食べるのに躊躇したが、臭いが強烈な弟のカレーよりはましだろう。ずるずるとそばをすする音が、部屋中に響き渡った。
これをきっかけに、他の心配そうにしている面持ちの家族をよそに、俺らはにぎやかに話を始め出した。しまいにはすっかりくつろいでしまった俺ら。あきらかに生死をかけた大手術をしている母を待っているとは思えない、場違いな家族だった。そんな俺らを、やっぱり母は放っておけなかったのだろうか。午後8時、無事手術終了の放送が流れて、母を待つ長い長い一日が終わった。