探偵さんの日常
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ボディーガードを請け負った私だったが、対象者である千紗さんを、そもそもなぜボディーガードするのか、理由はよくわからなかった。依頼者であるFさんから、「千紗さんと一緒にいる男と別れさせてくれ」という依頼も同時に受けていたが、これは理由がわかる。ただ最大の謎は、Fさんと千紗さんの関係だった。
通常であれば、内容不明の依頼はトラブルの元になるので受件しないのであるが、相手が誰でも知っている大物であるということと、依頼金額が高額だったため、トラブルの可能性は少ないだろうと判断して引き受けた。引き受けた以上、過度の詮索は禁物なのだが、何においても「知らない」ということは、自分の身を危うくさせる原因のひとつである。私は長年の経験を通じてそれを身をもって知っていた。
千紗さんとその相手の男性は、コンビニを出ると山下公園の方へと再び向かう。気づかれないようにボディガード、ということで、私は他に部下を5名連れてきていた。公園内のボディーガードは女性の部下に任せる。女性といってももちろん、空手の師範クラスの腕のある女性だが。その女性を中心に2名を配置し、私ともう1人はジャガーに戻ることにした。
ジャガーに乗り、山下公園から垂直に進むと、もうひとつコンビニがあった。ここは深夜であれば、その辺の若者が押し寄せ、コンビニの前の道をゴミだらけにしていくことでも有名なところである。そのコンビニで用を足し、食料などを買うと車に戻る。
「まったく、動きはないですよ。不振人物もいない模様です」
運転席に座る右腕の九条が私に言う。
結局、その日は何もなかった。
千紗さんの家は、世田谷区と渋谷区の境目にあった。見た目は普通のマンションだ が、オートロックはついていない。ここには3名+私を配置した。
一方、デートの相手であった男性には、尾行を1名つけた。
部下から電話が入る。
「どういうことですか? 男のほうは,依頼者のFさんの家に入っていきました。ええ。確認したので間違いありません」
はめられたのか。。。。
つづく。
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