探偵さんの日常
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2002年09月17日(火) ただいま潜入中。






わがガルグループのBOSSの体験談を探偵ファイルより抜粋です。





「潜入」といえば、スパイの中でもそれなりの経験、見識を求められる難しい作業で
ある。今は、スパイ気取りで社内の情報を収集し、それを2ちゃんねるなどに書き込
む「プチスパイ」もいるようだが、これはただの愉快犯。いろんな意味で、自分で自
分の首を絞めているだけなのがわかっていないだけである。



本物であれば、情報の入りと出の処理をネットで行うようなことはしない。もし、ス
パイの自覚があって、情報を表に出すような奴は間違いなく3流スパイである。



山本氏。本名はもちろん出せないため、そう記しておこう。私が山本氏と知り合った
のはいつになるだろうか。そう、某政治家の御庭番として活動をはじめた駆け出しの
頃、この人を知った。もう20年ほど前になる。



「○○省から来ました」



山本氏の最初の挨拶はこうだった。




当時、ある政策を実現させるためのプロジェクトに参加して、関係者を密かに監視す
る活動を命じられた私は、プロジェクトの調整役としてその場にいた。調整役といっ
ても、実態は使い走り。毎日雑用をやらされる中で、不審者や他のスパイがいないか
監視報告するのが、本来の任務である。



プロジェクトは大きな妨害はなく、終了した。ただ、懇意の政治家に情報を流す官僚
や、政策反対派のスパイがいるにはいたのだが、それも途中で発見し、無事始末する
ことができた。



プロジェクトも役目を終えて解散を迎える頃、山本氏から呼び出しを受け、個室に赴
いた。



「所長が(政治家の○○先生のこと)が「よくやった」とおっしゃってましたよ」



いきなり切り出されて驚いた。実は、今回のプロジェクトには私だけではなく、山本
氏もスパイとして潜入していたのである。最後まで山本氏がスパイであることに気が
つかない、という一生の不覚を覚えたが、駆け出しがどう動くかを監視する、という
のはスパイを使うほうにしてみれば当たり前で、この時ばかりは自分の甘さをつくづ
く感じたものである。



続けて山本氏は
「今後は、こういうこと(監視をつける)はないから。君ならば今後は一人で大丈夫
だろう。今後もっと力をつけてください(次からは一人でやらせるが、もっと努力し
ろ)」



言葉を選んで話すあたりはプロである。もし他人に聞かれていても真意はわからな
い。いずれにしろ、私のスパイ人生はここから幕を開けた。



それからしばらく、スパイとしての任務をこなしたが、日々の忙しさによって肉体も
精神も消耗し、山本氏のことなどすっかり忘れていたある日、○○先生から



「山本がよろしくといっていたぞ。」



と言われた。そのときは何のことかわからなかったが、その後の先生の話から察する
に、山本氏はどうやら「スパイ」を廃業したようだった。○○省に所属しながらのス
パイ活動は、先生の後ろ盾があったとはいえ相当大変な作業だったと思われる。スパ
イに休日などはない。任務がないときは常に訓練、情報収集に努めなくてはならない
のだ。




私は、政治活動や国家活動を行ううえで、スパイは必ずしも良いやり方だとは思って
いないが、歴史の裏側には、このように滅私奉公で活動する人たちがいるのを忘れて
はならない。
後でわかったことだが、山本氏は各国の情報部も一目置く、超一流スパイであったら
しい。3カ国語を操り、頭脳明晰で柔剣道、逮捕術、射撃などのプロだった、とのこ
と。山本氏は今はどこにいるのかわからないが、今日も世界のどこかで、活躍してい
ることを祈る。




実は、今、スパイを1人、育成している。ただいまテスト潜入中。
私は、うちの社員が誰も知らない「スパイ」を数名、抱えているが、ただひとつ悩み
がある。それは、一流スパイの育成は非常に難しく、なかなか有能な人材がいないと
いうことだ。
もし上記に挙げるような才能があり、スパイになりたい人がいらっしゃいましたら、
そうっと応募してください(嘘)










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