断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2023年12月27日(水) 「秋刀魚の味」

2023年12月26日
日本から秋刀魚が消えようとしている今
もはや、このタイトルには残酷ささえ窺えます!
これから先は「サンマって何?」の時代だ
あんなに、、あんなに秋刀魚たべてきたのに—


 『秋刀魚の味』  小津安二郎
  嫁ぎゆく娘の倖せを暖かく見守る父の慈愛!


 小津安二郎の遺作。113分
 小津作品の要素を多分に含んだ集大成。
 男手一つで育てた娘を嫁に出す父の気持ち、
 嫁に行く当の娘の心情を細やかに描き出す。
 中の良い初老の紳士たち、うらぶれ老いた恩師と
 その娘、父の海軍時代の部下、戦後的な兄夫婦
 など、主筋以外の点描も余裕に満ちて見事。
 STORY
 長男の幸一夫婦は共稼ぎながら団地に住んで
 無事に暮らしていた。
 家には娘の路子(岩下志麻)と
 次男の和夫(三上真一郎)がいて、
 今のところ平山周平(笠智衆)にはこれという
 不平も不満もない。 細君と死別して以来、
 今が一番幸せな時だといえるかもしれない。
 わけても中学時代から仲のよかった河合や堀江と
 時折呑む酒の味は文字どおりに天の美禄だった。
 その席でも二十四になる路子を
 嫁にやれと急がされるが、
 平山としてはまだ手放す気になれなかった。
 中学時代のヒョータンこと
 佐久間老先生を迎えてのクラス会の席上、
 話は老先生の娘伴子のことに移っていったが、
 昔は可愛かったその人が早く母親を亡くしたため
 今以って独身で、先生の面倒を見ながら場末の
 中華ソバ屋をやっているという。
 平山はその店に行ってみたがまさか路子が伴子の
 ようになろうとは思えなかったし、それよりも
 偶然連れていかれた酒場「かおる」のマダム
 (岸田今日子)が亡妻に似ていたことの方が
 心をひかれるのだった。
 馴染の小料理屋へ老先生を誘って呑んだ夜、
 先生の述懐を聞かされて帰った平山は
 路子に結婚の話を切り出した。
 路子は父が真剣だとわかると、
 妙に腹が立ってきた。
 今日まで放っといて急に言い出すなんて
 勝手すぎるーーー
 しかし和夫の話だと路子は
 幸一の後輩の三浦を好きらしい。
 平山の相談を受けた幸一がそれとなく
 探ってみると、三浦はつい先頃婚約したばかり
 だという。 口では強がりを言っていても、
 路子の心がどんなにみじめなものかは平山にも
 幸一にもよくわかった。
 秋も深まった日、路子は河合の細君がすすめる
 相手のところへ静かに嫁いでいった。
 やっとの思いで重荷をおろしはしたものの
 平山の心は何か寂しかった。
 酒も口に苦く路子のいない家はどこかにポッカリ
 穴があいたように虚しかった。

         劇場公開日 1962年11月18日


小津安二郎映画を、、はじめてまともに、見た☆
これは、、すごい
人生でこれほど時間がかけてあるカットを
見たことが、ない。
笠智衆の演技が、、自然体がすごすぎる
なぜだかわからないうちに 泣いてしまっている
この映像は魔法レベルで… 間違いない!!

 魔法の正体は《時間》だろうか

これはダンスにも応用が利く
ただ、これは経験力ある者(大人)でないと
こころには響かないんじゃないだろうか
若者が感じ取るには早すぎる
この(時間)は、急いでいる人には
噛み締めることができないんじゃないか
時間のゆたかさをかんじるようになるには
人生の体験が年月が不可欠だと思うのです
むしろ子どもが泣いているのを見てみたいw
でも、そんなこと、、あるだろうか(爆)
ある家族のカタチが
それぞれの人生が変化して
そうして変わってゆく心の機微
淡々とその時間が語られているように思った
なぜだか涙がでるのは、、
むしろ動きがないときに ふと、襲ってくる!
これはおどりにもある
とどまっていることで ふんばっていることで
滲みでるものだろうか
おそらく
おそらくは
ただ、とどまっているんじゃない
ただ、ふんばっているんじゃない
そのときにその人から何かが、
渦巻いているような密度、
目に見えないものを
わかってしまうからじゃないだろうか
もしかしたら
うごいているときには
それを受け取りにくいのかもしれない
わたしたちが動物である以上は
動いているものを自動的に目で追ってしまうから
そうか そうかもしれない
動きがなくなることで見えるのかもしれない

 きがつかずにないているかんかく

ふしぎだ
なぜなのか
ことばにできない
ほんとうに「ふっ」とくる
ことばにしようとするけれど
《何かを捉えてしまった》
としか、、喩えようがない



小津安二郎映画を見ることができてよかった!!


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Taisuke [HOMEPAGE]