断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2015年05月11日(月) 「トワノクオン」

『トワノクオン』は、故・飯田馬之介監督が最期の
メッセージを込めたSFバトルアクション。
病床で最期まで本作に取り組み、
自らの思いをスタッフに託した。
監督が作品に託したらすとメッセージとは!?

 『トワノクオン』
  想いが暴走する世界で、人類が試される―

 真実はいつだって残酷だ
 生きていたい、ただそれだけなのに
 「もっと、こうなりたい」「こんなことがしたい」
 「違う場所に行きたい」
 「もっと、もっと、もっと!」
 思春期に誰もが一度はとらわれる、そんな想い。
 その想いが現実に形を持ち暴走する。
 突如、能力に目覚める少年少女達。
 力を望む少年は “強い力” に。
 美しくなりたい少女は “変身能力” に。
 誰かを憎んでいる者には “殺す力” に。
 それぞれ想いが具現化し、力となって現れる。
 少年少女は次第にその力に魅了されていく。
 そしていつしか、力に意識まで取り込まれ、
 怪物に変わり果てる。
 己の欲望をただ叶えるだけの怪物に―
 オトナとコドモの間で揺れ動く不安定な時期、
 制御できない哀しみに、次々と暴走する心。
 「苦しむ心の声が聞こえたから」
 「ただ、守り続けたくて僕は…」
 彼らのもとに現れ、自身もまた、迷い、痛み、
 哀しみを共有しながらその魂を受け止め、
 共に生きようとする、謎の少年・クオン。
 人知れず 彼らの戦いはつづく―

さっそく主人公・クオンの台詞からいきますw

 「さっきみたいに暴走すると思うのかい?
  君は一生懸命練習したじゃないか。
  自分が力を選んだわけじゃないと思って
  いるのかな?  でもそりゃ違うよ。
  君が心の底からほしいと思う力、
  それが能力なんだ」

ターゲットが低年齢層なのは否めませんが、内容は大
人にも通じます。 実際、思いの力が暴走すれば犯罪
にも繋がるたいへんな力ですッッ
ぶん殴りたい、とか、めちゃくちゃにしたい、とか。
突き抜けたら “やって” しまいかねません!!
◎一生懸命制御しないといつだって暴走できます◎
この作品では能力が具現化してしまいますが、具現化
しなくてもチカラの使い方は問われるものです。
そのチカラとは “心の力”、“心の方向” です!
主人公クオンは誰かのために力を使います。
そして暴走するのはいつも自分本位の能力者。
おもった。

やっぱりそうか…
自分に使う力はせいぜい自分の命を守るためくらいで
いいんじゃないか

この作品にはそんなものを感じます。
自分本位の人は大概人の話を聞くことができませんし
自分のことしか興味ないのがほとんどです。
相手のことを考えない人には傲慢さが見えます。
ほんとうに強い人というのは、誰かを倒すことよりも
弱い者を助けることを考えていますよね?
どうやったら協調できるのか 寄り添えるのか
たとえ今が苦しくても過去を変えることはできません
クオンの過去を尋ねた女の子。

 「クオンは… 人を殺したの?」

 「ああ、、殺したよ…」

 「よかった
  クオンってさ、物凄く長生きしてるんだよね?
  そんなに生きてるのにさ〜
  昔やったことをずっと悔やんでる
  長く生きたからって悟ったりしないんだな〜
  って思ったら、
  人間っていいなあって思えたんだぁ
  だってさ! それって千年生きても、あたらしい
  恋ができるってことじゃない!!」

千年生きるって… どうなんでしょうねw
千年、たのしさをふりまけたりするんでしょうか??
この女の子みたいにポジティブになれるんでしょうか
その千年って廊下に立たされてる気分じゃないのかな
千年も人を助けつづけるなんてこと、
自分がゆるされたいからじゃないと、もしくは、
罪や業を背負っていなければとても考えられません!
《〜しなければならない》という気持ちがなければ、
自分自身をたもてやしないでしょう
そして《〜しなければならない》という義務感は、自
分を奮い立たせるものでもありますが、同時にいきす
ぎれば縛り付けるものにもなります。
これは子どもでも大人でも同じだとおもいます。
本気で考えてみたらおそろしいことになります―

ほんとうに自分の力を解放できる世界だとしたら、
とんでもないことができてしまう
自分の思うようにしようと思ったら必ず暴力に及んで
しまうことになる

わたしたちにはいつだって葛藤がつきまといます
クオンとの戦いで “ほんとう” に気付いたイプシロン。

 「俺は、ほんとうに戦うべき相手と戦う!!」

ほんとうに戦うべき相手。
それはおおよそわたしたち自身です!!

実はその終盤も終盤、たいへんな局面がやってきます
これ以上ないほど疲弊したクオンは、
敵に完敗を喫してしまいます。
意識が薄れる中、クオンのまわりにこれまで救えなか
った人間がつぎつぎと現れた―
彼らに謝罪するクオン

 「ごめん、、精一杯 努力はしたんだ…
  僕は、頑張れたかな??」

  しかし、死者は首を横に振りました

そのときのクオンの返答こそが伝えたいメッセージ。
“ほんとう” だとおもった
そう、受け取った

 「そうか… なら、もっと頑張らなきゃ 」

正直、この台詞には度肝を抜かれました
文章でそれが伝わるかわかりませんが、
ほんとうに度肝を抜かれたんです

こんな展開、人生で一度も見たことがありません
死ぬほど努力した主人公に対して
「まだ足りない」って言える人がいたんです!!

わたしたちは死んだ人間を前にしたら、
《まだがんばれる》んですッッ

これは、はっきり言ってこころの問題です
実際にできることと思いの差がいくらあっても
わたしたちは絶対につづけることができます

そう、死んだ人にはまるでウソがつけないのです
自分がしようとしていること したいこと
自分のほんとうの思いにウソはつけない

わたしたちが頑張っている人間だとしたら、わたした
ちよりも明らかに頑張っていない人から「がんばれ」
って言われると怪訝な気分になるはずです。
お前に言われたくない!とか反発心まで湧きます。
努力を重ねてきた人に言われればこそ、わたしたちは
勇気が出せるのです
説得力はカラダに、声に、すべてに宿ります

わたしには美樹さんという方がいました
わたしの人生を変えてくれた人です
上は大学生、下は中学生、三人のお子さんをもつお母
さんでした。
病院で美樹さんと出会わなければ、わたしの今はあり
ません。 どんなに感謝してもしたりないほどの人
6年前からもう何度もblogに登場していますが、
どうしても生死の話になると避けられません。

死ぬほど《生きようと》した人です

カラダは動きませんでしたがその意志はたいへんなも
のでした。 その目でさえ不自由でしたが、目の奥に
力を感じるんです!!
わたしは美樹さんを勇気づけようとしました。
どうにかして勇気づけたいとおもったんです。
それは自身の小さな世界から脱出できた瞬間でした
自分にできるのは踊ることしかない。
生きているうちにダンスを見てもらおうと、
必死にリハビリに取り組みました。
わたしは圧倒的に回復していきました。
だけど間に合いませんでした
今でもそれが悔しくてなりません

正直に言えば、今も苦しい毎日です
ダンスに戻れたというのに 図らずも靭帯断裂、
再建手術からのリハビリです
毎日毎日トレーニングをつづけ、何も変わらない毎日
踊りにもまだまるで手が届いていません
毎日が嫌で嫌でたまらないんです
そんな自分でも毎日をなんとか楽しくしようとして
このblogみたいな感じです
たどっていけば苦しさにぶつかってしまう

毎日が同じことの繰り返しになると、
わすれてしまいそうになるのは
《今、自分がなんのために生きてるのか》
トワノクオンはそれを思い出させてくれました
まだまだ、ぜんぜん、頑張れるッッ


 < 過去  INDEX  未来 >


Taisuke [HOMEPAGE]