断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2015年05月08日(金) 「月の影 影の海」(下)

つづきです。
下巻でも陽子は余裕で幻の猿に惑わされ続けましたw

 「そんな甘いことを言ってるからサァ、裏切られて
  いいカモにされされるのサァ」
 「裏切られてもいいんだ」
 「甘いなァ」
  きゃらきゃらと夜を裂いて猿は笑う。
 「本当かい? 本当にそれでいいのかい。
  カモにされるほど莫迦でいいのかヨォ」
 「裏切られてもいいんだ。 裏切った相手が卑怯に
  なるだけで、わたしの何が傷つくわけでもない。
  裏切って卑怯者になるよりずっといい」
 「卑怯になったが勝ちサァ。 ここは鬼の国だから
  なァ。 お前に誰も親切にしたりしないんだぜ。
  親切な人間なんか、いないんだからヨォ」
 「そんなのわたしに関係ない!」
  追い詰められて誰も親切にしてくれないから、
  だから人を拒絶していいのか。 善意を示してく
  れた相手を見捨てることの理由になるのか。
  人からこれ以上ないほど優しくされるのでなけれ
  ば、人に優しくすることができないのか。
 「…そうじゃないだろう」
  陽子自身が人を信じることと、人が陽子を裏切る
  ことは何の関係もないはずだ。 陽子自身が優し
  いことと他者が陽子に優しいことは、何の関係も
  ないはずなのに。
  独りで独りで、この広い世界にたった独りで、助
  けてくれる人も、慰めてくれる人も、誰一人とし
  ていなくても。 それでも陽子が他者を信じず卑
  怯に振る舞い、見捨てて逃げ、ましてや他者を害
  することの理由になどなるはずがないのに。
  猿がヒステリックに笑った。
  ただ突き刺さる声で笑いつづける。
 「…強くなりたい…」
  柄を固く握りしめた。
  世界も他人も関係がない。 胸を張って生きるこ
  とができるように、強くなりたい。
  猿が突然に笑いをやめた。
 「お前は死ぬんだ。 家にも帰れず、誰にも振り向
  かれず、騙されて裏切られて、お前は死ぬんだ」
 「死なない」
  ここで死んだら愚かで卑怯なままだ。 死ぬこと
  を受け入れることは、そんな自分を許容すること
  だ。 生きる価値もない命だと烙印を押すことは
  たやすいが、そんな逃避は許さない。
 「死ぬんだ。
  飢えて疲れて首を刎ねられて死ぬんだ」
  渾身の力を込めて剣を払った。 草叢を切り裂い
  た切っ先は空気までを斬って、強い手応えを返し
  た。 散った葉先の間に猿の首が跳ぶ。
  地に落ち、血糊を撒いて転々と転がった。
 「ぜったいに、負けない…」
  涙が止まらなかった。
  硬い袖で顔を拭って、歩き出した陽子の足許には
  金の光が落ちていた。
  陽子はしばらくその意味を取りかねて、呆然とそ
  れを見つめる。
  土の色を変えた血溜まりの中、蒼猿の首があるは
  ずの場所にそれはあった。
  もうずいぶんと昔に失くしたはずの。
  鞘、だった―

《ぜったいに、負けない》
これはリハビリにおけるわたし自身です!
しいては人生における自分自身です!
そして、この言葉は、
“何に負けないか” をわかってる人のものです。
わかってなくてこの言葉を使ってる人いないよね??

そう、負けちゃいけないのは《自分の決めたこと》
自分の信念をあきらめないこと!!

然るに、信念がなければやめていいことですw

自分自身の進む方向を間違えないこと。
自分が自分であるためのこころ。
これがなければ何もがんばれやしないでしょう。
そういうわけで、がんばっている人は信頼に値します
どんな人でも無条件に手放しで信じることができる。

では、逆に頑張っていない人はどうでしょうか??
指針のない人は自分が定まっていないので、
とらえようがなく、たいへんむずかしくなります。
何が好きなのか、どんなことをしているのか。
もうぜんぜんわかりませんw
自分からそういう発言をすることもありません。
教えてくれないというのと、言えないというのは、
天と地ほどの差があります。
すくなくとも堂々とは見えないはずです。

しかし、自分を見つけなくてもいいというのは、
ある意味で、たいへんなしあわせかもしれません
何も決めなくていいって、、
とんでもなくしあわせじゃないですか?? 笑笑

自分だけならいいけれど、
他者といきる世界では、そうはいきません!!
陽子は生命の危機にさらされることで、
否が応にも己を知ることになります。
そうして孤独から自分自身を確立させました。

 陽子は故国で人の顔色を窺って生きていた。
 誰からも嫌われずに済むよう、誰にも気に入られる
 よう。 人と対立することが怖かった。
 叱られることが恐ろしかった。
 いまから思えば、何をそんなに怯えていたのだろう
 と、そう思う。
 ひょっとしたら臆病だったのではなく、単に怠惰だ
 ったのかもしれない。
 陽子にとっては、自分の意見を考えるより他人の言
 うままになっているほうが楽だった。
 他と対立してまで何かを守るより、取りあえず周囲
 に合わせて波風を立てないほうが楽だった。
 他人の都合にうまく合わせて “いい子” を演じてい
 るほうが、自己を探して他と鎬を削りながら生きて
 いくよりも楽だったのだ。
 卑怯で怠惰な生き方をした。
 だからもう一度帰れればいいと思う。
 帰ったら、陽子はもっと違った生き方ができる。
 努力するチャンスを与えられたい。
 そんなことを静かに考えながら歩いた―

気付くというのは、おそろしいほどの《成長》です
気付いてしまえば変わらざるを得ないからです!
そして、それまでの考えに考え抜いたことが、途端に
あっさりと答えがだせるようになっています☆
これは本当に不思議ですね…
あんなに悩んでいたはずなのにw

一瞬で人は変わるんです

気付くということはそれくらいの力を秘めています。
ただ、深度の深い気付きということになると、
自分でも《知りたくない》と思えるほどのものです。
自分自身をほんものにするには自分自身と対峙せざる
を得ません!
それは見たくない自分自身の本性ですッッ
ただ、これを抜けている人は一目みればわかります。
◎どこからどう見ても前向きだから◎

前向きさは、胸を張って生きているという証明です


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Taisuke [HOMEPAGE]