断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2013年03月25日(月) 「PSYCHO-PASS」

正義の在処は―   全22話完結!

 『PSYCHO-PASS』
 その銃口(システム)は、正義を支配する

人間の心理状態や性格的傾向を計測、数値化できる未来世界。
「犯罪係数48、執行対象ではありません。トリガーをロックします」
その数値(サイコパス)、たぶん瞬間的にいくらでも上がるよねw
どんな人間にも一定値なんてありえないだろ―
この近未来世界ではなんと人間の能力は数値化され裁かれる世界なのだ!!
その数値は“絶対”です。
〜“絶対のシステム”で人を疑う必要がなくなった世界で暴かれる正義〜
放送が始まった頃はその世界観に「そりゃないだろ」っておもったけど…
最後は大変なところに行き着きます
ラストはわたしたちに何をもって“生きる”とするか突きつける内容です
ここで展開された会話を文章にするだけでもかなりのものですw
是非一読してみてください! 生きることを探してみましょう☆

 ところでアナーキズムの定義とは?
 支配と権力の否定です ただ、混乱と無秩序という意味ではない
 そうだ、非人間的支配システムの否定 より人間的なシステムの構築
 槙島はアナーキストに近いが、
 彼ほど破壊を好むとなると本来の語義からだいぶ離れる
 非人間的な支配システム、すなわちシビュラですよね?
 マックスウェーバーの言葉を借りれば、理想的な官僚とは、
 憤怒も不公平もなく、さらに憎しみも激情もなく、愛も熱狂もなく、
 ひたすら義務に従う人間のことだという。
 シビュラシステムはそういう意味では理想の官僚制的行政に近いかもしれない
 ただしそれは、公表されているシビュラの仕様が
 すべて真実という前提での話だ
 槙島は俺にシビュラの正体を知ったと言っていました
 「お前が命をかけて守るようなものではない」と…
 マックスウェーバーからもう少し引用しよう
 官僚制的行政は知識によって大衆を支配する、専門知識と実務知識、
 そしてそれを秘密にすることでその優越性を高める
 槙島はその優越性を剥ぎ取ろうとしている  それはうまくいきかけた
 例の暴動でこの社会はかなりの危険ラインまで脅かされた
 そして厚生省から槙島に対してなんらかの提案があった
 だがその提案を拒絶した
 もしこの席に槙島もいたらどんなふうに参加してくると思う?
 アイツはマックスウェーバーを持ち出された次の瞬間にはフーコーや
 ジェレミーベンサムの言葉を引用して返すでしょう
 「システムと言うよりは巨大な監獄では?
  ハノプティコ、一望監視施設の最悪の発展系。
  最少の人数で最大の囚人をコントロールする」
 もしかしたらガリバー旅行記あたりも引用するかもしれない
 あの男はシニカルで歪んだユーモアの持ち主です
 なるほど… 進みすぎた科学と政治への風刺として…
 そういう男です
 君は槙島と自分が似ていると思うか?
 理解できる点はあります、槙島の過去は何もわかっていません
 ただひとつ各日なのはヤツの人生には重大な転換点があった
 “自分が特異体質だと気付いた瞬間”です
 自分のサイコパスを自在にコントロールできる体質、
 それを特権だと思う人間もいるでしょう
 でも、槙島は違った ヤツが覚えたのはおそらく“疎外感”です
 この社会でシビュラシステムの目に映らないということはある意味、
 人間としてカウントされないのと同じでは??
 仲間に入れてもらえなかった子ども… なるほど…
 とはいえ、すべては憶測です

この“疎外感”はわたしたちにも起こりえます。
わたしたちはその意識から“わたしは人とは違う”としてしまいかねません。
そして、もしそれを肯定してしまえばなんでもできてしまいます!!
事件はこんなふうに起きる、ということもできるかもしれない…
“自分はわるくない”それが正義にも似た意思ともなれば危険そのものです!

 わっかんねえよ! オレなんかにわかるわけねーじゃん
 アンタは何にでもなれた どんな人生を選ぶことだってできた
 それで悩みさえしたんだろう??
 スゲエよな? まるでシビュラができる前のジジババみてえだ!!
 (うん、すごいよね? 誰もが自分の人生を手探りで選んでた、
  それがあたりまえの世界があったなんてね
 今じゃシビュラシステムがそいつの才能を読み取って
 一番幸せになれる生き方をおしえてくれるってのに…
 ほんとの人生? 生れてきた意味?
 そんなもんで悩むヤツがいるなんて考えもしなかったよ!!
 (そうだね、重たくてツライ悩みだよ  でもね? 今では思うんだ
  それを悩むことができるって本当はとてもしあわせなことじゃないかって

 僕はね、
 ヒトは自らの意思に基づいて行動したときのみ、価値をもつと思っている
 だから様々な人間に秘めたる意思を問い質し、その行いを観察してきた
 (そうね、アナタの気持ち、今ならすこしだけわかるかも
 そもそも、何をもって犯罪と定義するんだ?
 キミが手にしたその銃、ドミネーターを司るシビュラシステムが決めるのか?
 (違うよね それがそもそもの間違いだった
 サイマティックスキャンで読み取った生体力場を解析し、
 ヒトの心の在り方を解き明かす、
 科学の叡智はついに魂の秘密を暴くに至り、この社会は激変した
 だが、その判定には人の意思が介在しない
 君たちは一体何を基準に善と悪を選り分けているんだろうねえ
 (きっと大切だったのは善か悪かの結論じゃない
  それを自分で抱えて悩んで、引き受けることだったんだとおもう
 僕は、人の魂の輝きが見たい
 それが本当に尊いものだと確かめたい
 だが、己の意思を問うこともせず、ただシビュラの神託のままに生きる
 人間たちに果たして価値はあるんだろうか―
 (ないわけないでしょう!! アナタが価値を決めるっていうの??
  誰かの家族を、友達を、アナタの知らなかったしあわせを!!

 「おもしろくって楽チンで、ツライことなんてなにもなかった。
  ぜ〜んぶ誰かに任せっぱなしで何が大切かなんて考えもしなかった…
  ねえ、朱… それでもわたしはしあわせだったとおもう??」
 (しあわせになれたよ それを探すことはいつだってできた
  生きてさえいれば、誰だって―

探すことは、気付かなくちゃ出来ません
そして、他者からおしえてもらうことじゃない
自分で“探そう”としなくちゃ始まらないんだとおもいます
わたしたちは生きてさえいれば、そのチャンスがあるとおもうのです

 貴様は孤独に耐えられなかっただけだ!!
 この社会に孤独でない人間など誰がいる?
 誰もがシステムに見守られ、
 システムの規範に沿って生きる世界には人の輪なんて必要ない
 みんな小さな独房の中で自分だけの安らぎに飼いならされているだけだ
 君だってそうだろう?狡噛慎也!! 誰も君の正義を認めなかった
 だから君は信頼にも友情にも背を向けてたったひとつ自分に残された
 居場所さえかなぐり捨ててここまで来た
 そんな君が僕の孤独を笑うのか!? だがね、僕はむしろ評価する
 孤独を怖れない者を! 孤独を武器にしてきた君を!!

 あんたがどうあっても槙島を殺さないのは?
 違法だからです  犯罪を見過ごせないからです
 悪人を裁けず、人を守れない法律を、
 なんでそうまでして守り通そうとするんだ?
 法が人を守るんじゃない、人が法を守るんです
 これまで、悪を憎んで正しい生き方を探し求めてきた人々の思いが、
 その積み重ねが法なんです  それは、条文でもシステムでもない
 誰もが心の中に抱えてる脆くてかけがえのない思いです
 怒りや憎しみの力に比べたら、
 どうしようもなく簡単に壊れてしまうものなんです
 だから、より良い世界をつくろうとした過去、
 すべての人たちの祈りを無意味にしてしまわないために、
 それは最後まで頑張って守り通さなきゃいけないんです
 あきらめちゃいけないんです
 いつか、誰もがそう思うような時代が来れば、
 そのときはシビュラシステムなんて消えちまうだろう…
 潜在犯も、執行官もいなくなるだろう…  だが―

長くなってしまいましたが、久々に視聴者にリスクを負わせる傑作ですw
もし本当にわたしたちの能力が機械的に判別され区別されるときがきたら
わたしたちは何のストレスもなく生きて死ねるのでしょうか
そんな生き方で果たして“生きている”って言えるのでしょうか
さぁどうしますか?!
こんな世界が“あたりまえ”になる前に自分の力で歩いていきたいですね


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Taisuke [HOMEPAGE]