断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2012年11月26日(月) 定められた聖戦

毎日が温泉、毎日は別府温泉です。
いくら極寒の野外練習でも温泉に入れば、入りさえすれば、風邪はひかない!!
体力、そして自身の砕けてつなげた骨にも大助かりですw
リハーサル後、わたしはあらゆる近隣の温泉を巡っていました。
我々の食事をつくってくれる、克ちゃんさんと共にお風呂巡りをしていたんです。
…が、この日、怪しい煙草を手業で巻き作っている一団が結成されていた―
声をかけるとこの世のものとは思えぬ陽気な返事が上がります。

 「ごめ〜んタイちゃ〜ん! 今日いけないわ〜♪」

◎それは、この世を解脱したような万遍の笑みでした◎  たいへん忙しいようです!!
もう一人の料理人おはぎちゃんがその集団に向かって言います。

 「もぉ〜 わるいことしてぇ」

無理だなw
わたしはおはぎちゃんと駅前の高等温泉に行くことにしました。
言っておきますが、現代芸術祭の名称が“混浴温泉世界”でも混浴ではありませんw
高等温泉では温度差の違う別浴室が出来ていた。 以前はなかったはず!
別府温泉の基本は熱湯温泉。 熱い、熱いのだ   ぬる湯があるなんて―
気分転換にぬる湯にしてみようw
脱衣場に入ろうとすると二階から泥酔したおじさんが降りてきた。
足元はおぼつかず、言動も愉快で甚だしい。 君子あやうきに近寄らず、その典型です
泥酔おじさんは腰にタオルを巻いているonly。
相当気分よく酔っ払っていたらしく、番台のお兄さんに駄菓子を大量にあげていた。
どう見てもパチンコの景品だと思われますw
泥酔おじさんはそのまま駅前道路へ旅立っていきました…
〜見なかったことにしよう〜

 二階から降りてきたのは天使じゃない、泥酔したおじさんなのだ

深夜に向かう時間、浴室にいるのはわたし一人。 もはや貸切の様相です☆
なにも考えず、ただ浮かんでいました。  ぬるい湯でした
別府温泉を知る人なら誰もがこうおもうはずです!

 こんなのは温泉じゃあない

たとえ成分は同じでも、断じて同じではないのである。
浮かんでいると物音がした。 誰だ!?
階段を重度リハビリのように降りてくる人物、それは、さっきの泥酔おじさん!!
なんてこった…  束の間の平穏は破られました
あんな人と一緒では、間が、間がもたんぞッッッ
そこには一言も会話のない温泉空間が広大にひろがっていました。
相手の素性はわからない、わからずともわかる。  明らかにあやしい!!
このまま何事もなくここを去れればいい、そう考えてるときでした。

 「君くらい顔がよかったらいくらでもセッ○△できるだろ??」

突然投げかけられるおそろしい問いかけ。
そこから一辺倒に質問攻めされつづけました。。

 「なんで君は温泉にいるわけ??」
 「君たちの年代ってなんで軟派しないの??」e.t.c. e.t.c.......

呼吸には限界があります。 人は息継ぎしなくちゃ喋れない
質問が途切れたとき、わたしは整然と答えました。

 「やりたいことがあるからです」

おじさんはわたしを活目凝視し、指差してきた。
どうやら何かを射抜いてしまったらしい。  俺はキューピットじゃない
おじさんは激しくたたみかけてきました。

 「女の子は待っているんだ、待たせるのは男の本懐ではない」
 「どうしてヤらないんだ?」

もうここまで来たらとことん付き合ってやるしかない。 これも運命か―
そう、それはまるであらかじめ予定されていた聖戦のようでした!!

 「わたしはダンサーです」
 「ダンサーはどんなことよりも踊ることを優先させる変人なんですよ」

なによりも“誰でもいいわけじゃない”わたしはこころで叫びました
ともあれ、相手は人生の大先輩w  とりあえずその年月は敬わねばならぬ
おじさんはわたしの話に頷きながら唸りを上げていた。
一息つくと泥酔おじさんは人生を語りだしました…

 一年でヤった人数を

おじさんは若かりし頃から“持っている”種類の人間だったようです。
持っているのはお金と能力。 それは学生の頃に覚醒、野望を燃やした時代

 大学でおもいきり不貞を極めようとしていた

しかし不慮の事故に遭います。
◎汽車から落ちて不運にも対向列車に激突→頭蓋骨陥没◎
それは、わたしの事故とも重なる大事件でした
〜そこでおじさんの記録は止まった〜
治療のため療養のため一年の入院を要したのです。
鮮烈な大学時代をおくる野望は砕かれ、そしておぞましい再生を遂げます。
医学部合格。

 奇跡的リハビリ復活を為したおじさん本体には膨大なノルマが課されていた

それからの数は半端なものではありませんでした…
そして現在の地位は、※○×△女学院医学部助教授だということです。

 死にかけて得た経験の違いがこれほどとは

そのときの夢が、人生にどれだけの影を落とすのか―  わたしはおそろしくなりました
自分が自分でよかった、そのときそう思ったのです
先生の話は無尽蔵につづきます。。
しかし、方向はまったく違いこそすれ そのエネルギーに“本物”を感じてしまった
そう、問題はエネルギーの使い道だ  生きている時間の使い方なのだ

 「俺は石○あ●やの先生だ、初めての先生なんだ、知ってるか?」

知りません。 たぶん現行有名芸能人なんだろうが、ぜんっぜん知らない知る気もない。
でもとりあえず頷いておきましたw

 「俺はアイツの初めての男じゃないが色々教えてやった」
 「テレビに出るな、と言ったのにアイツは約束を破った」

どうでもいいな  そんなもの知ったことか

 「俺はダンサーの女の子も知ってるぞ? 今度そいつと六本木に行こう!」
 「そうすりゃ三人で… いや、譲る。 俺の領分は看護師だからな」
 「もしお前が本気で自信がないというなら薬をやってもいい」
 「俺は薬を出す側の人間だからな」
 「お前シャブでヤったことあるか? 凄いぞ、確実に女を落とすことができる」

ないよ、あったら犯罪者だよ―
テキトーに聞きはじめたとき怒号が飛びました。

 「お前はこんなところで長風呂するな!!」

つづけて笑顔でこう言われました。

 「明日から頑張りなさい(軟派)」

二人しかいない大浴場で盛大に謎の集中講義は終わりましたw
一方的、すべてが一方的です!! んん? 一方的!?
 最近つづいておきてることじゃないか
なんだろう、わたしに見込みがあるとでもいうのだろうか
複雑な気分です  わたしにも人並みの欲望はあるんだ
なんでもできればいいけれど なかなかそんなことできるものじゃない
今は、意識を分散させている暇がないのだ
先生には握手まで求められましたw  どんだけ気に入られてんだよ…

 「俺は※○×△女学院医学部助教授◆ミズ★ト■、いつでも尋ねて来い」

さらに脱衣場を出ると助教授から“梅昆布”が授与されてしまいます。
パチンコの景品ですw  免罪符ではありません
みんながいる番台の隣で助教授はわたしに向かって最後に大声で叫びました。

 「ダンス頑張れよ!!」

ウソだ―

ユーモアある最高のジョーク。  さすがは助教授だ(ここだけは感心したw
高等温泉、そのぬる湯はとにかくぬるかった。
温泉を出てあんなに寒さを感じたのは初めてです…
おはぎちゃんと帰り道、ここにも載せられない一部始終を話しました。

 「別府って、おかしな人たくさんいるよね♪」


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