断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2012年06月03日(日) 「全日本洋舞協会 特別公演」

当日9:00、楽屋入り。 わたしたちが一番乗りw

 第49回 なにわ芸術祭
 『全日本洋舞協会 特別公演』
 古典バレエ 〜新しき流れ〜そして未来

会場はサンケイホールブリーゼ(大阪)。
わたしが出演するのは、第2部 胸が熱くなるいい話 『月の満ち欠け』。
坂見先生は月の満ち欠けと言わずに『月』としていました。
もともと2部は朗読が入れられる予定でしたが坂見先生はその一文だけで却下。
さすが坂見先生!  説明を踊りにしたところでなんの意味があるのか
説明の踊りを見たことがありますか??

 わたしは反吐が出ますw

感じてもらいたいものがカタチじゃないなら
今は複雑な想いをすべてダンスにするべきじゃない
焦点を絞ること、限りなくsimpleにすることが、絶対に必要だとおもっていた
なによりも自分の作品ではありません
しかしそれを自分のものにしなくてはならないのです
いつでも想像以上に難しいことです
今回、足の靭帯を伸ばして出演できなくなった吉田琴美
責任・重圧・気負いも増える  そして大阪で踊るのは初めてのことだ
実はわたしが最も恐れているものは舞台上での勘、“感覚”でした
あらためて吐露すると空間把握と方向感覚がどれだけできるかわからない
あたらしいからだで舞台上でのあらゆる効果にどうなるか不安でたまらなかった
慣れるには本番を積み重ねるしかない、これは誰に話してもわからない種類のものだ
ゲネまで事無く運んだが、それは本番におきた

 後方上手に移動したとき完全に方向を見失ってしまった

照明効果でどこへ行くべきかがまったくわからなくなったのだ
上手袖のライトを頼りになんとか乗り切ったが完全に慌ててしまいその後に影響した
直後、上手奥からセンターをグランパディシャで下手前方に斜めに突き抜ける場面。
大きくジャンプしながら天に向かって左手を突き出し、顔も上空を仰いだとき!
照明の光度で着地と同時に今度は空間が消し飛んだ―!!
本番のテンションは自分でも制御できないものがあります
もしかしたらそれこそが舞台上で得られる自由と呼べるものかもしれません
けれどそこにはリスクがつきまとうのです
終わったあとに、まだ自由を使いこなすことはできないとわかった

 まだまだだな

ここまでは自分自身についての整理。
この作品は三人で踊っているのだから本当の価値は三人でしか出せない。
実はこの作品をどう踊りたいか、何をお客さんにつたえたいのか、二人に訊ねました。
だけどそれは、会話にはなりませんでした…
どうして言葉にできないのか、わたしにはわかりません。
なぜなら踊りの技術ではなくハートの力で踊ることを選んでいるからです。

 “全力を尽くす”のはあたりまえ、本当に大切なものはその先にある

ダンサーとは言われたことをやる職業じゃない。
その役割と自分を発揮できるところを探して答えを見つけなくちゃ、
人前で踊るなんてできない  踊る意味がない
わたしたちはやみくもに全力で踊ることが仕事じゃないんです

 全力を無駄遣いしたくない   全力を“ダンス”にしたい

プロの流儀としては与えられた責務をこなしさえすれば立派だといえます。
なによりも自分のプライドを守ること。
それが世の中で生きる処世術、“価値”だからです。
わたしが人と違うのはプライドをつまらないものとしていること。
自分がやりたいこと、インスピレーションを第一にしていることです。
もちろんそこにはいつだって葛藤があります。
自分自身の価値を高めることがいつだって社会に有利に働くからです。
そんなことよりもわたしは生みだすことがしたい。
生きるために踊るんじゃなく、踊って生きたいんです
ひとりじゃなく一緒に、このメンバーでしかいけないところへいきたい
だからわたしは馬鹿を演じてでも仲を取り持つ。   もっと大事なものがある

この『全日本洋舞協会 特別公演』にはあらゆるプロフェッショナルがいました。
そしてたくさんの作品が、素晴らしいものが、たくさんありました。
わたしは「あの作品が踊ってみたい」と出演者が言ったのを聞いた。
悪くいうつもりは毛頭ありませんが、わたしは違います

 自分たちが踊った作品が一番よかった、もう一度踊りたい、そう言いたい

そうじゃなきゃウソじゃないか。
他のものを取り沙汰するまえに自分が心底踊りたい作品に昇華する努力をしたのか。
不満・憧れ・技術、作品をいくらでも変えていける時間はあったはずです。
わたしなら全員を、先生を巻き込んででも自分たちが後悔しない方法を選ぶ。
後から参加したわたしにとって唯一の後悔。
それはなぜもっと早くに全員の真意をぶつけあうことをしなかったか
これこそがわたしたちに足りなかったことだった
わたしは、ダンスにだけはウソがつけません  ダンスが好きでたまらないのです
それでも自分自身に後悔はありません。 信じるものを踊ったのにウソはないからです
ただ、三人で同じものを掴めなかった気がして胸がしめつけられるのです。
自分に後悔がないからといってそれでいいというわけにはまったくいかない
わたしは舞台が終わったあと、意外なほど話しかけられました。
他作品のダンサー、男性ゲストや偉い先生方。
ダンサーとは興味のない人物に話しかけるなんてことは絶対にしない。
これは、わたし自身にも当てはまることです。
楽屋で坂見先生が「よかったわよ」いい笑顔で言ってくれました。  ほっとした
大阪公演にもかかわらず、わたしを見に来てくれた人もいます。
どう見えたかはわかりません、しかし何か受け取ってもらえたことを信じます


どんなに再現性のある作品でも同じダンスというのは決してない
どのダンスも生涯一度限りのものです
一緒に踊るメンバー、その時の気持ち、舞台の大きさ、何もかも違う
一度きりの舞台に挑むためにわたしたちは毎日練習し、からだを鍛錬しています
失敗するかもしれない 間違えるかもしれない 誰一人理解してくれないかもしれない
尽きることのない不安を振り払って舞台に立つ
できることは心をこめて踊るのみ


『全日本洋舞協会 特別公演』その本番までたくさんの課題を発見できました。
自分が成長できる、目に見える壁。  こんなにわかりやすいものはない
それは、本気でどうしたらいいか取り組み、知恵を絞った結果です!
しばらくなんにもできないくらいにやった  その姿は軽い廃人ですw
“今”できうる最高のダンスへの追求が自分の可能性を更に引き出す

もっともっと成長できる


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Taisuke [HOMEPAGE]