断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2012年05月06日(日) 「別離」

第84回アカデミー賞外国語映画賞受賞☆ 全世界絶賛!80冠を超える映画賞を受賞☆
イラン映画、その言語はペルシア語です!

 『別離』
 はじまりは、愛するものを守るための些細な“嘘”だった―

 私は、映画『別離』のことを探偵がいない探偵映画のようなものだと考えています。
 パズルを解くのは観客であるあなたです。 そこにはたくさんの答えがあるでしょう。
 本作ではいくつもの問いがちりばめられていますが、
 明確な考え方や答えを示すということはしていません。
 登場人物自身やその気持ちになりきって、直面した問題を考えてみてください。
  監督アスガー・ファルハディ

その人間心理の複雑さは映画というよりも現実に焦点があります。
どうにもならないことの連続がナデルとシミン、そして娘に襲いかかります。
わたしにはどうしても“世界中を魅了した、人間ドラマの最高傑作”とは思えない。
こんなのは生きていればフツーだからです。
この映画で心が震えるというのは、あまりに生活の現実を知らなさすぎる気がします。

まず、妻シミンは認知症を患う夫ナデルの父をまったくもって見捨てています。
これは道徳的にみてあまりに身勝手すぎる。 ろくでもない女です。
逆だったらということを考えないのかこの女。
娘のことを考えて国外脱出、というのも理由にはなりません。  命の話だからです

これは映画というよりもリアルそのままです。
決して解決することのない、わだかまりの映画でした。
過去、わたしは徘徊するひとを見守る仕事に従事していたことがあります。
だからこそ複雑な想いがこの映画で渦巻きました。

 一概におすすめできません

フツーの人々が起こすフツーの不幸。
なんにも大袈裟なことではありません。
誰にでもおこりうる出来事だからです。
ただただこの世では生きることが難しいのだと。
そんなことを知らない人にはそのような映画だと思います。
リアルであるがゆえに「今現在」には夢も希望も解決すらもありません。

 何の足しにもなりませんが、時間だけが希望だといえるのかもしれない

現実を世に知らしめる映画だとは理解できます。
しかしこの映画には解決策は提示されません。
そして、どの人もその根本に“悪”はありません。
そういう面ではちっとも面白くない、と言うこともできます。
結末を観客にゆだねるのはいいけれど、そのやり方はあまりにも暴力的だと思った。

物語が進めば進むほどに気力が抜けていく、暗い映画でした


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Taisuke [HOMEPAGE]