断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2012年03月19日(月) 空を踊る

『salon』当日。 〜街が見下ろせる山の中腹、住宅街にあるwwwodで〜
今回踊るダンスには、その場所とイメージが重なる詩があります。


 空を描く

 青色の絵の具と白色の絵の具を混ぜて
 筆を水につけこんで
 大きな画用紙にいきおいよく描く
 空色がなくなったら青色と白色を混ぜる
 ちょっと青が多くなった
 かまわず描く
 海になった
 今度は海を描く
 たっぷりと筆につけて
 海色がなくなったら
 また青色と白色を混ぜる
 今度は白が多くなった
 かまわず描く
 波になった
 今度はなくならないよう水で薄めて描く
 筆が乾き
 白色が薄れ

 雲になった


海月(UMITSUKI)、『salon』パフォーマンスの主催者・執行吏さんの詩です。
わたしが踊るのはこれまででもっとも空に近い場所。
柵がないのでとなりはまったくの空!
屋外で踊りますが、どうにかしてガラスを超えてダンスを内側にいれたかった。
観客は一枚ガラスの向こう。  下見した3/6、おもしろいことがしたいと思った
さすがに局地stage、下見をしてからというものアイデアがガンガンに浮かびます!!
 内側にもダンサーを配置してその関連性でダンスを展開するとか
 空のむこうになにかをつりさげてもうひとつ奥行きを操作してみるとか
局地的であればあるほどイメージが止まりません!! やりたいことが止まらない!
いろいろなアイデアを執行さんにもちかけてみました。
しかし如何せん時間とそれができる人材がたりなくて断念した事情です。
わたしのカラダだけの勝負になったw  小細工できない真剣ソロ
いつもここに戻ってくるために、当日までカラダの力を増す努力が欠かせません。。

19:00、いよいよ『salon』が始まった。  〜わたしの踊りはそのラスト〜
執行さんの期待にこたえ、この公演を成功させるためにも絶対に失敗できません。
ところが、わたしは集中することができなかった
すべてがバタバタでいつ何が始まるのかまったく読めずに混乱していました。
プレッシャーはかかりきり、カラダを暖める場所がない。
執行さんたち首脳陣も手が回らないほどギリギリだったのです。
これはお金をとる以上、正真正銘プロのstage。
すくなくとも進行だけは理解しておかないと気力は疲弊していくばかりです。
とつぜん本番はやってきます!
 外はおそろしく寒かった
昨日まで雨だったこともあり気温が下がっていた。
からだは敏感です、踊りだす位置についたとき想像以上に固まっていた。
が、そんなものの一切がなんの言い訳にもなりません。
わたしは踊りました。  無心に踊りました
わたしのダンスは踊りらしい踊りではありません。
そのダンスがどこにあるのかを踊っているからです。
見てくれる人にどこまでつうじるか、それがダンサーの技量だと言える。
 タイトルは『空を踊る』
もちろんわたし自身からダンスを引き出すこともします。
でも、それよりも大事なのは内側にいる人たちからダンスを引き出すことでした。
わたしは外から内側にいる人を見ながら、その人の空をその人に向かって踊りました。

 ひとりひとりに視線をあわせていき
 そして最後は会場に背を向けて空に向かって空をえがくと決めていた

これがわたしの『空を踊る』の全容です。
あとはもう見てくれた人が何を感じてくれたのかに賭けるほかありません。
きびしかったけれど、なんとか落ちずに踊りきりました。
これ以上ないジャンプができたのはただの一回、それも“垂直飛び”
…って、どれだけ怖がってたんだ俺はw
実のところガラスに触れることは“してはいけないこと”だと決めていました。
なぜならガラスに触れてしまえば誰もが目に見えない壁を意識してしまうからです。
壁を超えるためには絶対にしてはならないタブーでした。
ところが本番ではガラスに頭をぶつけて前のめりで踊った部分を記憶しています。
外は闇で、空間をとらえきれていなかったんでしょう
わたしの目が、いやカラダで空間をとらえることがあまかった  チクショー
これはもう甘んじて受けとめることが必要です。
ところがその最後、空に空を描くことをどうやって踊ったのかちっとも思い出せません!

 憶えているのは気を抜いたら空にすいこまれそうだったこと

時間は20:00をまわっていて、生活の明かりは見えても空は真っ暗闇でした。
いま考えればなんの支えもない空間に向かってよくおどろうとしたね…
前には踏み出す足場がないんです   “それでも体中にわきおこった歓喜”

 消し去れなかった恐怖と一緒にあったのは“生きてる”という強烈な実感でした

感想をきけた中で興味深いものがあります。
それは、会場のwwwodで働くスタッフからの一言でした。

 「目がよかった」

おそらくわたしが踊っている種類のダンスは見たことがないはずです。
フツーの感想ならカラダの可動域とか身体能力だと思う。
もちろんあとからそのことも言われたけれど、その一言が最初だったのです。
 わたしが安心したのはここです    わたしの“目”は生きていた!
あとはその集中をひとりひとりの《なにか》に流しこめればいい

 わたしはここでしかできないダンスが踊れたのかもしれません

『空を踊る』 その最後に自分自身の空を描けていれば、これ以上ない幸せです


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Taisuke [HOMEPAGE]