いよいよ読書は唯川恵にもどってきました!
『一瞬でいい』 唯川恵 ここにあなたと存在する この一瞬だけでいい
軽井沢育ちの稀世と英次、東京から別荘へ避暑に来る未来子と創介。 夏を一緒に過ごすうち、同年齢の四人はいつしか友情や恋心を育んでいた。 高校の卒業記念に登った浅間山で悲劇は起きる。 英次の事故死 残された三人はそれぞれの悔悟を胸に、創介は実家を飛び出し、未来子は留学、 稀世は看護学校へ進んだ。 三人とも彼の死を背負って生きる決意をして。 もし、あの一瞬がなかったら、私たちはどんな人生を送っていたのかしら 32年間にわたる壮大な恋愛長編小説。
「仕方のないことだったんだ。自分を責めることはない」
この言葉にわたし自身どんなに悩み苦しんだかわかりません。 これからどんどんダンスをつくっていこうと邁進していた矢先でした。 なぜ寝たきりなのか、なぜ看護師に全身清拭されているのかまるでわかりません 数日間いろんなものを撃たれて意識はぼやけてよくわからない日がつづきました 自分のカラダが動かないとわかったとき、すさまじい憤りが襲います 生きていてよかったなどとはよぎりもしません、浮かびもしませんでした 考えたのは「なぜ」と「どうして」だけだったと思います 怒りを通り過ぎたら絶望がやってきました
あの時、死ねばよかった 頭を打ち砕き、そのまま死んでしまえばよかった 死んでしまいたい
もう踊れない、そう思ったのです 実行しようとさえしました 笑われるかもしれませんが本気でした 自分がわかりませんでした しかし母が毎日きてくれました 話し相手をしてくれました わたしの“最初”はほんとうにギリギリのところでした やっぱり誰かがいなければ自分を保てなかったと思うのです
『一瞬でいい』この物語ではかけがえのない友だちの命が失われてしまいます。 その命が三人の未来を大きく変えてしまうのです。 ひとりの人間の命にわたしたちはどれだけ囚われてしまうと思いますか? この本を読みながら、両親に対してこころで詫びました
死ななくて本当によかった
物語をすすめていくと心が避けられない場面に遭遇します
「男というのは― もしかしたら、背負っている重荷があるからこそ 生きてゆけるのかもしれないな」
「子供の頃、空襲で逃げ遅れたわたしを庇って、姉が死んでね… それから、いつ死んでも構わないと思って生きて来た。 姉に申し訳なくて、生き残った自分は恥を晒しているだけだと思った。 しかし今になると、そう思うことで姉に守られて来たような気がするよ」
いつも何度でも言いますが、これはいつかどこかで受けとめるときがきます なにも大事故に遭わなくともどんな人にもいつか必ずそのときがくるのです だからこそわたしの身の不幸はなんの自慢にもならないのです もちろんわたしには他人には言えない苦しみや秘密があります だけれどそんなものは“みんないっしょ”です 結局はそこから何を学び、そしてどう生きるのか、これしかありません
わたしにとって、自分が死ぬところまでいったのはこれまでにない体験です 入院中、ひとつの後悔がこころに巨大な影を落としていることに気づきました それは“話したいことを話せなかった後悔”です 伝えられたのに伝える努力をしなかったこと わたしは命あるかぎり自分の心を絶対に裏切らないと誓いました 驚いたことに『一瞬でいい』も同じところへ向かうのです
「英次、来たぞ」
この直後の創介の台詞にわたしは涙が止まりませんでした 切実に同じ想いが襲ってきました 唯一、創介と違うのはわたしにはまだその時間があるということ
人生をがらりと変えてしまうような一瞬がこの世にはあります もし、あの一瞬がなかったら この場合の一瞬はある部分のことを指していますが今のわたしはこう考えています わたしたちが生きている世界はそんな一瞬の連続で成り立っている 特別な一瞬でわたしたちの人生が変わるというなら、その逆もあるはずです
特別でなくとも一瞬の連続で変わる人生だってある
わたしが信じるものはどうやらこれです。 『一瞬でいい』を読んでこんなところに行き着くことができました! わたしは自らの体験を通じて、生きるのに欲張りになったのだと思います 一瞬一瞬を全力で感じていたい、そう思っています
|