断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2012年02月05日(日) 「雪の舞」

昨日リハーサルを終えてホテルに戻ったわたしは気が気じゃありませんでした。
まさか雪の中はだしで踊ることがこれほどのものだとは。
もう最後まであがくしかない。

 ダンスが踊りたいんです

これ以上ないくらいに考えて、もう考えられなくなるくらいに考えればいい。
そうすればイメージはもう考えなくていい。
 本番を踊りだけにするには
さいしょからわかっているのは、本番でしかダンスにできないということ。
お客さん、雪のステージ、そして自分自身。  それは二度とできない即興です
すべてをダンスに引き出せるのは本番“そのとき”しかない
不安は本番が終わるまで絶対に消えることはありません
0:00 このとき初めて気がつきました。

 時計台の鐘の音が聴こえる!

時計台すぐ近くのホテルに滞在していたにもかかわらず今まで気づきもしなかった
鳴ってるじゃん!!  本番当日に気づくなんてなにかの知らせかもしれません
今日はきっといいことがある。  わたしはタイトルを『Spread』とした

 『雪の舞』 13:00開演
 1 吉田琴美 「導き」
 2 宮澤菜々子、前山香奈、中川希望 「月」
 3 タイスケ 「Spread」
 4 人形遣いモカ 「雪の精の物語」 〜欧州生まれの新しい人形劇〜
 5 弥勒 「輪廻転生」 〜ジャグリング〜
 (この公演はN●Kの撮影も入りました!モカちゃんのおかげです)

本番はシューズを履いて踊った琴美ちゃん。
楽屋に戻ってきた琴美ちゃんがわたしにささやきます。

 「タイスケさん!シューズ履いたらもうぜんっぜん違いますよ〜☆」

本音でしょう。 しかし、本番直前のわたしには小悪魔の囁きでしかない
その本気で言っている顔がその“ぜんっぜん違う”ってのを証明していました
とつぜん襲うこころの葛藤  とつぜん揺らぐ決意と信念
わたしだっていいダンスが踊りたい
そんなとき、重い、重いひとことが現実へ引き戻してくれました

 「軟弱者」

昨日の先生の罵声がすべてを打ち消した  あぶなかった
わたしはダンスを悪魔に売り渡すところでした  すべてを台無しにするところでした
いよいよわたしの順番です  観客みんなの前にた―

 先生が音出しを二度も失敗

ひるんではいけません  もうわたしは舞台にたっています
わたしは歩きました お客さんの前をゆっくりと歩きました  先生の準備がおわるまで
あとから考えれば、このとき歩いたのがよかったのかもしれません
先生がミスってくれたおかげで、わたしの度胸はおそろしく据わったのです

 わたしは踊りきりました

なにをどう踊ったのかぜんぜんおぼえていません
なによりも足の感覚がまったくありませんでした
わたしは次のステージ、屋内へとお客さんを招き入れる役
先生には屋内に入るまで決して気を抜くなと言われていました
楽屋にかけこむとお湯が用意してありました
感覚のない足を抱えてわたしはお湯につ―

 !!!!!!!!!!

気を失うくらいの激痛、激痛でした
横になって歯をくいしばりながら悶絶  涙で顔はぐちゃぐちゃでした
こんな激痛いままで感じたことがな―   ありました 2年前です
しかし記憶がなくなっていますからあたらしい激痛には違いありません
そうです、これは生きている証  愛おしいくらいです
そんなわたしを隣で看てくれていたのは琴美ちゃんでした
あとから考えたらおかしな話ですがわたしは女子高生に励まされていたんです
悶絶しているわたしに琴美ちゃんがタオルをかけてくれました

 「うんうん痛かったね…痛かったよね」

こんな言葉だったと思う。 あんまり痛くてすべてをおぼえていません
なさけないと思われる方もいるかもしれませんね
でも、はだしで踊った琴美ちゃんにしか同じ気持ちは共有できません
彼女以外だったら振り払ったでしょう
わたしは“はだしでおどる”という当初掲げた最低条件で踊りきることができました
ただ、それがダンスになったかどうかはわたしに量ることはできません
お客さんになにを感じとってもらえたか
わたしのダンスは映像では“見れない”ものでしょう
とても“見れる”ものではないはずです

 あのとき“あの瞬間”でしかないからです

わたし自身のrealize  これだけは真実
ダンスは厳しいものですからわたしの言い分が肯定されるものではありません
なにも感じてもらえなければ、すべてわたしの力不足です
公演が無事終わったあと、仲間の菜々子ちゃん。

 「タイスケさんのダンス、とってもよかったです。 泣きそうになりました!」

おそろしい先生も笑顔でしたw  北海道に、札幌にきてよかった
でもまだまだです  いつだってたりない  なんたって“泣きました”じゃないw

ダンスとは何をどう踊るかよりも、もっと大切なことがあります
ダンスを踊るには、自分を超えるには一日一日を精一杯に堂々と生きなくちゃ
わたしたちのダンスは人間の答えのない想像力にアクセスしなければ!
それが仕事です


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Taisuke [HOMEPAGE]