思い出の散歩道
こお



 親愛なる友よ。

彼女の親友に「この子の夢の妨げにあなたはなるから、目の前から消えて欲しい」と言われた。
すごく優しい子だと聞いていた。
だが、彼女のことになると周りが見えなくなるようで、モニター越しにその決意を感じさせた。
「実力行使も辞さない」
……本気だなと思った。
歪んだ友情に感じられた。
歪んだ愛情に感じられた。
一方的に私は言われて、会話は打ち切られてしまった。

なにが彼女のために幸せなのか。

考えた。
間違っていることも分かっていた。
でも、夢が叶った後なら…誰にも文句が言われないのかと考えて、彼女に言った。

俺のこと、忘れないで欲しい。
ずっと待ってるから。
諦めるんじゃなくて、待ってることにした。
君の夢が叶うまで待つことにした。
もし夢が叶ったとき、まだ俺のこと覚えていてくれたら連絡ください。

いきなりこんなことを言えば相手も不審がる。
出来れば彼女の友達とのやり取りは知られたくはなかった。
もしも自分が彼女の立場であれば、その行為は傷つく。
だが、それは無理な話だった。
話は当然のようにそのことを語らなければならなくなった。
「私がいつそう頼んだの?」
それはそうだ…誰も頼んでいないだろう。
私は謝るしかなかった。
だって、私も彼女の友達も彼女の気持ちを無視して、彼女のためだと言う偽善心で話をしていたのだ。
……浅はかだ。

親愛なる友よ。
君たちは私に直接意見してくれる。
例え、私にどう思われようとも、決して曲げない信念で私に接してくれる。
双方が傷つくことを恐れない、そういった絆を持っていられる。
偽善のない、友情だ。
間違っていると思えば、直接意見し、私の気持ちを確かめ、何が正しいのかを懸命に模索してくれる。

今、私の中でまた恋が変化し始めた。
あの冬のように恋から…慈愛のようなものになってきている。
やっぱり恋は向いてないようだ。
慈愛というのはおかしいかもな。
俺も彼女に救われている部分が多いし。
親愛なる友よ、俺は彼女の友になれるだろうか?
彼女が望み、それが正しいと思えば手伝い、間違っていると思えば意見できる、そんな存在になれるだろうか?
なれたらどれだけ幸せだろう。

2004年05月29日(土)
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