ぴんよろ日記
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ある日ダンナが言った。 「あの坂の途中で、いつもじいちゃんが外ば見とると知っとる?」 私もよく通る坂。でも知らなかった。 そう言われて気をつけて見てみると、いつもじゃないけど、 たしかにじいちゃんがボーっと窓の外を見ている。 一度は、アパートの前の坂を散歩していた。 これまたボーっと道ばたの花を見ていた。
脂っ気のぜんぜんない、絵に描いたようなじいちゃん。 家族がいるのかいないのか、どんな物を食べているのかも、よくわからない。 でも私たちは、毎日のようにそこを通るたび、じいちゃんを探す。 特にダンナは、死んだ自分のじいちゃんに似ているらしく、気になるようだ。
私も死んだじいちゃんに似た人を見ると、 嬉しいような悲しいような気持ちになるから、 それが、いつも通る道で見かけられるのなら、きっと探してしまうだろう。 そしてたぶん、じいちゃんを見かけた一瞬、 じいちゃんと過ごした子ども時代に戻るのだと思う。
ダンナは小さいころに、 じいちゃんとも、生まれ育った町ともさよならしているから、 その瞬間を想像すると、じわっと目の奥が熱くゆるむ。
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