ぴんよろ日記
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オードブルの内容を聞きにいってしまったお姉さんの背中を見送っていると、 とんでもないものが目に入った。 緑の木に、赤いリボン、金色の飾り…。 なんとこの若葉茂るさわやかな5月に、クリスマスツリーである。 そ、それはないんじゃないか。 別に年中クリスマスツリーを飾って悪いという法律はないが、 レストランという存在は、できれば季節感を大切にしつつ、 楽しい時間を提供してほしい場所である。 それが半年経ってもクリスマスとは…。 いや、まてよ、お正月のしめ縄飾りだって朽ち果てるまで玄関に飾っている家もある。 なにかそういう、風習のようなものでは…。
不毛な深読みなどしていると、お姉さんが戻ってきた。 5種のオードブルは、あたりさわりのない安心メニューだったので、 まぁ、それを頼む。 「今日のおすすめ」の魚料理が何かを、おそるおそる聞いてみたけど、 これはちゃんと答えてくれた。 はっきりとは聞き取れなかったけど、まぁ、それを頼む。 肉料理は…第一候補「ひな鳥の小悪魔風」は…「今日はできません」。 鶏のハーブ焼きを、まぁ、頼む。
ここで珍しいことに、飲み物の注文を聞かれなかった。 車だったし、飲んでも2人でワイン1杯かな、と思っていたので、 無いなら無いでもいいか、オードブルを食べて、 どうしても飲みたかったら頼めばいいや、と思った。
お姉さんが去っていく。 ズチャ、ズチャ、ズチャ、と足音を立てて…。 ここまで言うと、もう、小姑大姑みたいなんだが、 いや、これが、今までいろんな店に入ったけど、 こんなにお店の人の足音がダルそうなのは初めてだった。 すごくわかりにくく形容すると、 「(設定は30年くらい前)本当はもう別れたいと思いながら、 ずるずると同棲しているカップルのお姉ちゃんが、 あたしこの先どうなっていくのかしら、田舎に帰ったってつまんないし、 でもあの男といても、どうなるわけでもないし、と、 遠い目をしながら銭湯を後にする… (男は今日は友人たちと飲み会、と言いつつもう1人の女の部屋にいる)」 という感じだ。
しかし、この店、ナメちゃいる店なんだけど、 見方を変えるとイマジネーションをふくらませてくれる店だと言えなくもない。 それがいいかどうかは別にして…。
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