ぴんよろ日記
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ぺなぺなのクリアファイルメニューをめくると、 そこにはいちおう、前菜からスープ、メインディッシュのアラカルトメニューが並んでいた。 でもその日私たちが求めていたのは、簡単なコースだったので、 コースがないか、まためくった。 そしたら、あった。3500円。 でも、なかった。 ていねいに作るから前日までに予約しろとかなんとか書いてある。 これだけアラカルトメニューがあるんだから、 それを組み合わせて簡単なコースくらいできそうなもんだが、 まぁ、それはしょうがない。目をつぶろう。 アラカルトメニューに戻る。 オードブルだけでいくつもある、ということになっている。 「5種盛り」が1500円。 あとは「ムール貝のオーブン焼き」「鴨の薫製サラダ仕立て」「アスパラガスのカルボナーラ風」など。 ムール貝にやられたことが一度や二度じゃないにもかかわらず、 それでもムール貝を愛するハハが頼みたそうにしている。 ちょっとしっかり食べたかったので、ムール貝と鴨の薫製を取れば、 違った傾向のものが揃うな、と思って、そう決めた。 スープは…なんか中途半端な値段で心ひかれず。 あとは魚料理と肉料理を1つずつ頼むことに。 しかしここまでメニューを読めば、もう、だいたい見切れた。 初めはコースだってじゃんじゃん出すフレンチ、イタリアンを目指しちゃいたんだけど、 さまざまな内外の要因がそれを許さず、洋食屋になっちゃった、というところ。 現実はハンバーグなのだ。 これは洋食屋が志が低いということでも、ハンバーグが子どもだましということでもない。 その人の当初の理想と今の現実が食い違ってしまい、 それを前向きに受け止められない状況に陥っているのだ。 たとえば第一志望の大学に落ちたガリ勉君が、 第二志望の大学に、周りをバカにしつつ通っているというようなこと。 それは誰も幸せにしない。
…それにしてもけっこう長い時間メニューを見ていた。 それは…そこまで食べたいものがなかったから。
お姉さんがやってきた。 「えーっと、まずは『ムール貝のオーブン焼き』…」 「あ、ムール貝は今日はもうできないんですよー」
来たぁ!できねぇ攻撃!
半ばやっぱりと思いながら、 「じゃぁ、この『オードブル5種盛り』っていうのは、何が入ってるんですか?」 「今日のおすすめのものです」 「…だから、何が入ってるんですか?」 「ちょっと待って下さい」…スタスタスタ…。
来たぁ!しらねぇ攻撃!
「今日のおまかせ」とか「シェフの気まぐれ」というメニューをよく見かける。 それはそれで楽しみな感じなんだけど、 注文取る人が知らないのでまかせようがない「今日のおまかせ」とか、 スタッフ全部で10人もいないのに、 その日のシェフがどんな「気まぐれ」状態にあるのか分からない危険な「気まぐれ」。 それがどれほど客にとっては不信感の元になることか。
厨房に向かう面倒くさそうなお姉さんの背中を、 暗雲立ちこめる気分で見送った。
以下次号
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