ぴんよろ日記
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2002年01月08日(火) モチとスナとイカのギャップ。〜鹿児島2日目〜

鹿児島には甘くておいしいものがいろいろある。
長崎の「甘さ」とはちょっと違う、どこか濃い甘さ。
糖度はおなじくらいなんだけど、長崎の方が線が細い…あ、でもかるかんは違う。
直方体のかるかんを食べたときは、軽いショックを受けた。
材料は山芋と砂糖と粉だけだったと思う。いたってシンプル。しっとりふわり。
鹿児島における「カステラ的存在」のかるかん。有名な店が2軒あるというのもおなじ。
カステラが「福砂屋」「文明堂」なのに対して、
かるかんは「明石屋」「江戸屋」だ。(なぜどっちもよその町の名前なんだろう??)
料理や焼酎や人々の眉毛が「濃い」のに対して、かるかんはサッパリしている。
鹿児島とは思えないサッパリさ加減に驚いたのだった。

でも鹿児島のおやつといえば、両棒餅ですよ、奥さん。
「ぢゃんぼもち」という不思議な読み方をしますが、別にjamboなワケではない。
一口大のお餅が2つ、松葉を太くしたような二股の竹にさしてあって、
こんがりあぶってある。これにみたらし団子に掛かってるようなタレがたっぷり。
とっても好みの味なので、この日の朝ごはんにしようと食べに行く。
「まっぷる」にのってた「元祖」な店を目指して行くと、何軒もの「両棒餅」屋さんが。
「あれ?」と戸惑ってちょっとした空間に車を駐めると、
猛烈な勢いでオバサンが寄ってきた。
目指していたお店とは違う店の駐車スペースに、車をとめてしまっていたらしい。
「両棒餅?両棒餅?いま焼けましたよ、さぁさぁ」すっかり客に。
朝イチだったので、店内は寒い。桜島を見ながら食べようと思っていたが、見えない。
テレビからはニット界の貴公子・広瀬光治サマの麗しいおしゃべりが。
「な、なんやこいつは」とダンナが驚いていたので、
「私はもう10年も前から注目している」と(ほんとは5年くらい)言うと、
少し尊敬していた。
おいしいおいしい両棒餅。焼きたてで、もう、おいしいおいしい。
お茶をズズッと、こりゃまたおいしい。初めて食べるダンナも満足げだ。
「どちらから?」「長崎からです」「あー、サッカー」「す、すみませんっ」
(前日の準決勝で国見が鹿児島実業をこてんぱんにしていたので、
「長崎ナンバーは石投げられんかなぁ」と話していた。だから反射的に謝ってしまった)
「長崎は、私も行ったことがありますよ。呼子(よびこ、と読んでいたが)から、
壱岐も対馬も行きましたよ」
…そしてオバサンの「旅・とーく」が始まった。
「へー、けっこう旅行されてるんですか」
「はい。私、14ヶ国行ったことがあります」ひゃーっ!
昨日のボラレも驚いたが、
お世辞にもリッチに見えない両棒餅屋のオバサンが「14ヶ国」!
エンパイヤステートビル、ニューヨークの街の素晴らしさなどについて、
ようやくストーブの温もりが広がり始めた両棒餅屋で拝聴するひととき。茶がうまい。

さて、砂蒸しだ。砂蒸しをしたいんだ。蒸されたいんだよう。と、指宿へ。また虹を見る。
「鹿児島ラーメンを食べたい」とダンナが言うので、
コンビニに寄り、地元タウン誌のラーメン本を見てみる。
まぁめぼしい店を見つけて、入ってみた。
トンコツと味噌、1杯は餃子・ライスとのランチセットにする。
けっこう繁盛している。
でも出てきたラーメンはイマイチぬるくて、餃子は明らかに冷え気味。
まずい、というワケじゃなかったけど、ちょっともう、重くて残した。
焦がしネギが、鹿児島ラーメンの一つの特徴でもあるらしい。熊本は焦がしにんにくだ。
やっぱりどちらも「火の国」ゆえに焦げるのだろうか…。

すぐに砂に埋まるのは危険な気がして、わざと遠くにある、
そして景色の良さそうな砂蒸し温泉に向かう。
開聞岳や、真っ直ぐな道や、また出ていた虹など、快適なドライブ。
さて、温泉の駐車場にオジサンが立っていた。運転席に歩み寄る。
「すみませ〜ん、今日、水道管破裂しちゃって、臨時休業です〜」あいたた〜。
また開聞岳や、真っ直ぐな道や、虹は出てなかったけど、快適なドライブで指宿へ戻る。

砂蒸し、期待していた数倍も気持ちよかった。30分も埋まってた。
10分くらいで眠りに落ちて、10分くらい眠って、10分くらい虹を見ていた。
そう。埋まっている時に見える限られた空に、大きな虹が架かっていたのです。
虹を見ながらの砂蒸しなんて、人生にそう何度もありません。極楽のようでした。
(埋められる、という感じは、やはり生よりも死を感じさせます)

それにしても、温泉街にはフランス国旗。
また変なテーマパーク(フランス温泉村とか)でもできるのかと思ったら、
ワールドカップのフランスチームが合宿するらしい。
ということは、するんだろうか、砂蒸し。するんだろうな、砂蒸し。
ズラリと並ぶ浴衣(つんつるてん)のフランス人。
タオルを頭にまかれるフランス人。
オバチャンたちにざくざく埋められるフランス人。
ひょっとしたら身長高すぎて互い違いに埋められるかも知れないフランス人。
どんどん蒸されるフランス人。
フラフラになるフランス人。
あぁ〜見たいよぉ〜!(5月のニュースは要チェック!)

魚料理を出すという、こじんまりしてそうな旅館に電話してみる。
「鳴海旅館」。名前も渋い。そしてとっても感じのいいご主人。
値段や料理のことなどをしつこく尋ねても、親切な応対。もうけ心もあまり匂わない。
部屋はぜんぶ海に面しているらしい。
ねぇ、ここまで整えば、誰だって期待するわな。
少なくとも、和風のたたずまいは想像するわなぁ。瓦の屋根、ですわなぁ。
もっと少なくとも、部屋は、畳ですわなぁ〜っ。

鉄筋コンクリートの古びたビルに入る。キーを受け取る。うっ。
私たちの部屋は「いか」。「いか」。「いか」。今夜は「いか」に寝るのだ。
2階の「いか」に案内される。「いか」の扉が開かれる。
「いか」には、2つ、ベッドが並んでいた。「いか」ぁ、畳はぁ、旅館ライフはぁ〜。
どうしてなんだろう、何十年か前にカッコイイつもりでビジネス形式にしたのかなぁ。
隣の大部屋「まぐろ」は畳だったが、小さい部屋は全部ベッドのようだ。
「いか」は寒い。
ちっぽけなエアコンからは、最強にしてもちっとも温くない風がスカ〜っと。
「たぶん…」と思ってフィルターをチェックすると、やはり詰まっていたので外す。
確かに窓の外は海。荒れる海。吹きすさぶ風。巻き上げられる潮。(翌朝車は潮まみれ)

畳ならすることがなくても過ごせるのに、なんでベッドだといたたまれないんだろう。
どんなに色調節しても強い黄味が抜けないテレビの下ある週刊誌を手に取る。
(こんな時に限って、ガイドブック以外の本を持ってきてない)
何人の人が、こうやってこの本を手に取ったのだろう。めくりながら全身の力が抜ける。
「いまやダメ首相」という文字の横で含み笑いをしているのは…小渕さん…。

まー、万事が万事、こんな感じ。広くて寒い大広間で食べた料理もネ!
「いか」に戻って、いつもだったら見ないような「女子アナ勢揃い!」を見ると、
りえちゃんが映ってて、映るたんびに「あっ」とか「来たっ」などと、とてもなごむ2人。
でも「いか」で見るりえちゃんは、真っ黄色…。

一生分の「サンデー毎日(他の部屋からも集めてきた、いたずらなバックナンバー)」を、
持ち込んでいた焼酎「桜島」とともに10冊ほど読み尽くし、寝る。







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