ヲトナの普段着

2005年05月28日(土) 餌を求めるカメラ小僧

 チャットの宣伝用写真を撮らせて欲しいと言い寄ってくる輩がいるらしい。僕が耳にした範囲ではアダルト系のみだから、ノンアダのチャトレには無縁かもしれないけど、よくよく考えてみるとふざけた野郎だと思えてきたので、彼を槍玉にあげて今回はライブチャットを掘り下げてみたい。その男の名は「シルバー(仮名)」という。
 
 
 チャトレにとってのプロフ用写真の大切さは、僕もこれまで幾度か書いてきた。写真に惹かれてドアをノックしたこともあるし、過去にはお気に入りチャトレがギャラリーにアップする写真を、せっせとコレクションしていたという少々危ない経験もある。チャットをしていても、ときどき写真の話になることがあって、「〜〜ちゃんの写真は綺麗よねぇ」という話を耳にするにつけ、女性として自分の姿を美しく記録してみたいという願望は、チャトレという仕事以前にあるのかなぁと思ったりもする。
 
 そんな僕自身、書き物をする傍らで写真趣味も持っている。かつては風景写真ばかりだったところに、一昨年の後半から女性も被写体として撮るようになって、これまで、バイトのモデルやセミプロモデル、チャトレのプロフ用写真も撮ったことがある。「なんだ、あんたも同類か」と思われるかもしれないけど、まあ話は最後まできいてくださいな……。
 
 
 僕がチャトレの写真を撮ったのは、いま思えば自然な流れのなかでの出来事だったような気がする。普通にチャットサイトで出逢い、普通にチャットを楽しみ、それこそ数ヶ月が経過した頃に、ひょんなことから「じゃ、撮ってみるか」という話になった。ポートレイト(人物写真)はまだ初心者だったんだけど、それでもバイトモデルや撮影会に参加した直後で気合も入っていたし、当時の技量としてはそこそこの写真が撮れたような気がしている。
 
 彼女はその写真を気に入ってくれたようで、その後、彼女のチャトレ仲間に話が飛び火して、紹介という感じで別の子の写真も撮ったりした。以後、何度か撮影依頼を受けては、こそこそとプロフ用写真を撮るようになった。
 
 チャットで写真の話になると、僕は大抵、ヲトナごっこの写真集の宣伝をする。言葉で写真を語るより、現物を見てもらったほうが話が早いからだ。だからといって、「撮らせて欲しい」という話はしない。けれど、「撮って欲しいな」という話は、これまで数名の子からされている。社交辞令だろうと僕自身は受け止めているけど、前述したような「自分の姿を綺麗に残してみたい」という願望はあるんだなぁとしみじみ思う瞬間でもあった。
 
 誤解がないように明言しておくけど、僕は現在、被写体を募集してはいない。過去に撮った子たちから依頼があれば、それはそのときにスケジュールとにらめっこして考えるだろうけど、こと写真に関しては、本来の僕のテーマであった風景に照準を合わせているからだ。そこのところは、読み違えないでくださいね。
 
 
 ライブチャットというところは、男と女が出逢う場だ。出逢いの形も千差万別で、目的もさまざまだろうと思う。「シルバー」がライブチャットで被写体(兼、餌)をあさったところで、僕がとやかくいう筋合いではないのかもしれない。けれど、シルバーの手口を見る限りでは、ライブチャットという世界を、あまりに莫迦にしているように思えてならない。
 
 つい最近、仲良しのチャトレから「こんなメールが来たの」と相談を受けた。シルバーからの手紙だった。ありのままを見せてくれたけど、いやぁ莫迦だなこいつはと思いました、わたしは。そのまんまここに転載してやりたいとこだけど、それはあまりに度が過ぎてると思うので要点だけ書くことにすると……。
 
 チャットしたこともない状況で「サイトで見かけた」とメールを書き出している。これだけなら、「チャットしてみたいんだけど」という打診で済むだろう。しかし直後に「カメラが趣味だから、チャット宣伝用写真を撮らせて欲しい」と、いきなり本題へと入っているではないか。そのためにチャットの待ち合わせでもするのかなと思いきや、「今日は挨拶程度で」といきなり締めに入り、最後に「自分はYahooのメッセやってるから、声かけてね」とご丁寧にメッセIDとYahooのメルアド(それも二発)が書き添えてある。
 
 
 あきれた。
 
 
 シルバーの噂は、過去に別のチャトレから聞いていたけど、現物みてほとほと呆れた。彼女は「これって、エッチ目的よね」と大笑いしてたけど、誰が見たってそう思うだろう。いや、百歩譲ってそうでなかったとしても、これはライブチャットを愛する者たちにとって、じつにゆゆしき事態に違いないと僕は感じたわけだ。
 
 なぜなら、シルバーは「チャットすること」を目的とはしていない。チャットせずに登録サイトでメール送信し、ポイントを消費しないようにメッセで女の子とやり取りをしようとしているではないか。写真の腕前とか、エッチ目的かどうか以前に、こいつは完全にライブチャットを舐めてると僕はそう感じた。
 
 ヌードを撮りたいのなら、いまどきは素人モデルを探せるサイトなどいくらでもある。僕もかつては、そういうところでモデルを探しては撮ったりしていた。もちろん、彼女たちはバイトだから、撮影には費用がかかる。シルバーはおそらく、金をかけずにヌードを撮ろうとしているのだろう。そしてあわよくば、食っちまおうと思ってるに違いない。
 
 率直に書くけど、本当に芸術性の高い美しい写真を撮る腕前を持つのであれば、ライブチャットで被写体を探すようなことは決してしないと僕は思う。断言する。
 
 
 チャットで親しくなって、その流れで「撮ってあげようか」というならまだ話はわかる。どうぞご自由にやってくださいという感じだ。されど、綺麗な写真に憧れている女性が集まっているからといって、ライブチャットという場の意味をまったく無視したシルバーの手口は、僕は見過ごせるものではないと感じている。
 
 カメラ小僧の風下にも置けない野郎だ、ったく。


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ヒロイ