| 2004年12月20日(月) |
ザ・パイプカット1 /究極の避妊 |
これを書くのに半年悩みました。はじめは心情的に、次に道義的に。けれどそうして悩むからには、やはり書いておきたいという気持ちがあったわけで、年が新しくなるその前に、僕のなかで一応の決着をつけておこうと思います。タイトル通り、パイプカットの話です。 今年の春に、パイプカットをしました。「パイプカットってなに?」といういたいけな読者のために言葉の説明からはじめますが、パイプとは「精子を作る管(詳しくは後述します)」であり、それをカット(切断)するのですから、精子を作れない体になるということです。つまりは避妊手術ということになります(去勢ともいうようですが)。 避妊方法もさまざまで、確実性という視点でみるといくつかの段階に分かれるかと思います。最低レベルは「生挿入で外出し」でしょうか。避妊と呼べないような気もするのですが、殊のほか多いのではと推測しています。それも一度ならず一夜に二度までも「外出しするから大丈夫」などとほざく男もいます。一度目ならまだしも、二度目はペニスに精子が残っていますので、かなりリスクが高いと思わねばなりません。 かつて「マイルーラ」という膣内挿入型の避妊薬がありましたけど、あれは生産中止になったのでしょうか。遠い昔に、彼女が耳許で「そのままいっていいよ」と囁いたとき、かつてないほどときめいてしまった思い出がありますが、僕がマイルーラを知ったのはそのときでした。けれど、あれもどことなく危なっかしい気がしたものです。スキンを使うときの補助薬という認識でした。 スキン、コンドームは全世界的に使われている避妊方法だと思うんですけど、スキンも万全ではありません。装着方法に不備があると、動いているうちに先端が圧力で破裂する危険性があるからです。破けたのを知らずに射精してしまい、血の気が引いた経験を持つ方も少なくないかと思います。特に女性に警告しておきますが、スキンが破れるとペニスはそれを察知するはずです。きわめて薄いスキンであっても、生とはぜんぜん違います。それを知らん顔で通す男は信用できない奴だと思ってください。 薬といえばピルがありますね。妻もかつて使ったことがありますが、薬で人間の生理を操作するわけですから、かなり肉体に負担がかかる方法だと僕は感じています。それから、スキンの女性版、リングというのもあります。これも妻は経験しました。しかしどうにも体調が不安定になり、三年ほど装着していたかと思いますが外してしまいました。体質によって適不適があるようです。 少々古典的な方法になりますけど、オギノ式という避妊方法もありますね。もちろん我が家でも経験済です。もっとも僕ら夫婦の場合には、避妊目的ではなくて懐妊目的でしたけど……そういうのはオギノ式懐妊方法とは呼ばないのでしょうか。理屈は同じなんだけどな。 こうして一般に採用されているであろう避妊法を列挙してみても、100%確実という避妊法は世の中にはないんです。唯一、精子を作らないパイプカットを除いては。ですから究極の避妊方法となるのでしょうが、それだけに、決断にはそれなりの経緯も必要でしょうし、正しい知識がなにより重要となる気がします。 僕がパイプカットに至った経緯、じつはそれこそが、このヲトナごっこに記録すべきところなのかもしれませんけど、半年悩んだ末に出した結論は、そこには言及できないというものでした。起承転結も伏線も無視した本題のみの小説みたいで、なんとも情けない話になってしまうんですけど、どうしても公の場で書くことができません。自分のことならいざしらず、これは、夫婦や家族をも巻き込む話になりますので……。 ただ、根っこが判然としないまま言うのも説得力に欠けるとは思いますけど、はじめに夫婦間でその話が出てから実行するまでに、僕らは八年近くの歳月を要しました。そしてその間には、当初の考えや衝動だけでなく、その後の「出来事」も積み重なっての結果であることを、はなはだ身勝手な書き方ですけどご理解いただきたいと思います。 いま僕が思うのは、正しい避妊とパイプカットというものの認識を、読者の皆さんに手にして欲しいということです。僕自身が実際に経験をしてみて、それを近しい仲間たちに話したところ、意外なほど彼ら(あるいは彼女たち)の知識が乏しいことに驚きました。この記述が、少しでも避妊に悩む人たちの手助けになればと、僕はそう願っています。 【つづく】
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