好むと好まざるとに関わらず、お互いが求め合ったときが生理中であったという経験は、ヲトナであれば誰もが一度は経験するのではないでしょうか。そのとき行為に及ぶ者もいれば、何らかの理由を手に避ける者もいる。果たしてその境目にあるものは……。 生理のときは、彼氏に逢うのも抵抗があるんです。そういう話を耳にしたことがありました。なんでも生理の際に「独特の匂い」を嗅ぎ取る能力を持つ恋人との経験があったようですが、人間の鼻って、そんなものまで嗅ぎ分けるのでしょうか。僕には到底及ばぬ世界です。 匂いはわかりませんが、それこそフェロモンとでもいうのか、女が発散する空気のようなものを感じることはあります。よく生理の前後には男が無性に欲しくなるという話も聞くのですが、そういうときの女の体からは、目に見えぬなにかが放射しているのかもしれませんね。ご注意ください……。 匂いやフェロモンはさておき、女が男を欲するサイクルというのは、おそらく生物学的には繁殖の頃合と合致するのではないでしょうか。いかにも論理的な物言いに聞こえるかもしれませんが、となると、話が少々食い違ってきます。それこそ排卵日前後に欲しくなるというなら理屈は通るのですが、多少なりとも妊娠の可能性が低い生理中ともなれば、その論理は当てはまらないからです。 ただ、これは僕の無茶な論理かもしれませんけど、生理というのは受精卵の着床を助ける子宮内壁の組織が、その役目を終えて体外へと排出される現象でもあるわけですから、ある意味では「次の受精卵を受け入れる準備をする」段階という見方もできるかと思います。だから男が欲しくなるというのも、どこか強引な気はするのですが、不思議であるだけに想像が広がる女体の神秘といったところでしょうか。 生理中のセックスには血液の放出を伴います。それを嫌がる人は、男女問わず多いかと推察しています。僕はそれほど気にしないほうですが、やはり「好んでやるものでもないでしょ」という気はしますね。けれど、男の中にはそれを好んでいる者もいるようです。 「生理中なら中出しできるから」という理由は、おそらく多くの男連中が口にしそうな理由だと思えるのですが、とんでもない間違いですよね。女性はよくご存知だと思いますけど、生理中だから妊娠しないという保証はどこにもありません。確立が低いというだけの話です。 思えば、いわゆる「性教育」の不徹底が、そのような間違いを生み出している気もしなくもありません。大人になってもなかなか真面目に性を語れないのですから、青年期にそれを求めるのも酷だといえるかもしれませんが、愛撫の方法なんかより遥か以前に学ばねばならないことでしょう。愛する者の体のことなのですから……。 僕自身、過去に幾度か生理中のセックスを経験したことがありますけど、概して「いつもより敏感に反応している」風に見えました。実際にその辺のことを言葉で交わした女性もいましたけど、特に生理前後に男の体を欲しくなる体質(?)の方は、体がそれを望んでいるからか、いつになく感じてしまうものなのかもしれません。そういえば、ペニスの先端で感じる子宮口の様子も、いつもより硬くなっていたかな……ま、気のせいかもしれませけどね。 生理のときにセックスをすると、「変な感じじゃなかった?」と相手に尋ねられます。無理もない問いかけかと思います。事実、いつもと同じだったとは言えませんから。日頃から愛液の多い人なら意外とそうでもないのかもしれないとか、妙な想像をしてしまうのですが、やはりヴァギナ内にいつも以上に液体状のものがあれば、摩擦係数が低くなるのは当然の話でしょう。 だからといって、「気持ち悪かった」とか「ぜんぜん感じなかった」なんてことはありません。もちろん個人差はあるかと思いますけど、そういう心配は無用かと思います。むしろ僕の場合は、いつになく感じている相手の姿に、やはり平素とは異なる刺激を覚えているといったほうが適当でしょう。セックスはペニスだけでしているのではないんです。どうぞご安心ください。 セックスとは、相互理解だという気がします。お互いをより深く知る機会でもあるわけです。そういう意味では、生理を理由にセックスを拒むか或いは行うかも、一対一という関係のなかで正面から話すべき事柄ではないでしょうか。男に女の体の仕組みを知ってもらう、またとない機会だとも思えます。 無知ほど怖いものはありませんよ。生理の仕組みを知らない男、妊娠のシステムを知らない男というのは、驚くほど多いのが実情であろうと僕は想像しています。彼らと上手に愛を交わしていく意味でも、生理中のセックスは、いい題材ではないでしょうか。
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