| 2010年11月29日(月) |
文書提出義務と取材の自由 |
日経(H22.11.10)社会面で、田原総一朗氏のテレビ発言をめぐる損害賠償訴訟で神戸地裁が、同氏に取材テープの提出を命じたことに関しての記事が載っていた。
この記事を読んで、ある程度裁判の状況が分かった。
この事件は、田原氏がテレビで「外務省も(被害者の有本恵子さんらが)生きていないことはわかっている」と述べたことに対し、有本さんの両親が、外務省がそのように述べていないのに虚偽による発言で傷つき精神的損害を被ったとして、慰謝料請求の裁判を提起したものである。
田原氏は「発言は外務省幹部らへの取材に基づく見解」と主張し、インタビュー録音の一部を文書に起こして証拠として提出した。
これに対し、両親側は、文書に「死亡」と認識している発言がないとして、テープ内容全体の提出を申し立てたのである。
民事訴訟法は、当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持している場合には、文書提出義務があると定めている。
この規定を根拠に、神戸地裁は、「田原氏がテープ内容を引用している」と判断してテープの証拠提出を命じたようである。
この場合、法律解釈としては、一般文書について認めている提出除外事由が引用文書についても認められるか、及び、認められるとして、本件が除外事由に該当するかなどが問題になるだろう。
ただ、かなり複雑なのでこの点は省略する。
結論としては、情報源が明らかになることによって影響を受ける取材の自由と、文書提出義務とが比較考慮されることになるだろう。
いずれにせよ、最高裁まで争われと思われるが、私の感覚では、文書提出命令は認められないのではないだろうか。
|