今日の日経を題材に法律問題をコメント

2010年07月15日(木) 事実認定のプロであることの自負

 日経(H22.7.15)社会面で、殺人事件の控訴審で、東京高裁は、一審・横浜地裁の裁判員裁判の判決を「事実認定に不備があり違法」として破棄し、改めて一審と同じ懲役4年6月を言い渡したと報じていた。


 事実認定の不備を理由に、高裁が裁判員裁判の一審判決を破棄するのは初めてである。

 
 一審は「被告は、包丁を手に取った被害者から危害を加えられると思い違いをしており『誤想過剰防衛』が成立する」と認定した。


 これに対し東京高裁は、誤想過剰防衛は成立しないとしたのである。


 誤想過剰防衛というややこしい概念は、刑法の教科書には普通に出てくるが、裁判で認められるのは珍しい。


 一審では、弁護側が誤想過剰防衛の成立を主張し、検察側もそれを争わなかったようであり、それゆえ、一審裁判所も、誤想過剰防衛の成立を認めたのだろう。


 しかも、一審判決に対し検察側は控訴していないのであるから、誤想過剰防衛が成立しないとしても、刑の重さに影響しない。


 それなのに、東京高裁は、事実認定に不備があると判断した。


 東京高裁刑事部の裁判長となると、刑事事件の超ベテランであるが、そこに、事実認定のプロであることの強烈な自負を見た気がする。


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